【キガリ(ルワンダ)=ENI・CJC】(フレデリック・ヌズウィリ記)宗教指導者は、アフリカ各国政府に、ルワンダ東部キレヘ郡ガトレ地区で進められている水道計画で『アフリカ超教派平和行動』(IFAPA、本部ナイロビ)が関与しているように、類似の計画には企業や宗教団体との提携を進めることを要請した。
ルーテル世界連盟(LWF)のイシュマエル・ノコ総幹事は3月19日、水道計画の発足式典で「アフリカ各国政府がルワンダの例にならって、政府、企業、宗教団体、市民社会との協力を促進する状況を生み出すよう動くべき時だ」と語った。式典は、国連が3月22日を「国連水の日」に定めたことを覚えて行われた。
ルワンダ東部水道計画には、世界最大手の食品企業ネスレ社とIFAPAが参画している。
20村の住民約2万2000人に安全清涼な飲用水を提供する計画で、貧困削減、初等教育普及、女性の権利拡張に貢献するほか、超教派的な協力強化につながると期待されている。
発足式典には宗教指導者と並んで、ネスレ社や市民グループなどが出席した。ノコ氏は今回の事業を公私宗教提携の新たな形だと指摘した。「このプロジェクトが平和と開発のための現実的な宗教間の協力を意識した各方面の協力への示唆となることを願う」と言う。ノコ氏はIFAPAの招集者でもある。
水道計画は2006年にルワンダのポール・カガメ大統領とノコ氏の会見で生まれた。
ネスレ社はかつて教会や世界規模の教会団体からの製品ボイコット運動に見舞われたことがある。貧困国で乳児用の粉ミルクを販売し、母乳による育児を衰退させた一方、粉ミルクを溶かす水が不衛生だったりして、乳幼児に被害を与えた。
「ルワンダではなお多くの人々、飲用や衛生用の日常の使用に十分な上水確保のために戦っている。あまりに多くの女性と子どもたちが、徒歩や自転車で、家族のために水を汲ん来るために教育や雇用の機会を犠牲にしている」と、ノコ氏は言う。
IFAPAのコーディネーター、サリオウ・ムバッケ氏は「私たちの中で共有している宗教が基盤である。信仰という見地からすると、宗教が共同体の間の調和確立に貢献し、同時に不足している基本的ニーズを満たす」と言う。
ネスレ社の公共関係担当ニールズ・クリスチャンセン副社長は、水道計画がルワンダで平和と繁栄を促進することを望む、と語った。「飲用水の十分な供給と水資源の効果的な利用は平和と人々の間の調和を促進する。成功する事業を作り出す我が社の能力は平和と人々の間の調和に依存している。紛争や戦争は、人々だけでなく事業にとっても最大の破壊者だ」と、クリスチャンセン氏は言う。
ネスレ社は水道計画に34万8947米ドル(約3470万円)を拠出した。ルーテル世界連盟世界奉仕部門ルワンダ計画により、他宗教団体からの協力も得て施行される。