文化庁の文化審議会(石澤良昭会長)は21日、青山学院ベリーホール(東京都渋谷区)や日本基督教団島村教会教会堂(群馬県伊勢崎市)など、キリスト教関係の建造物7件を含む186件を国の登録有形文化財(建造物)とするよう、渡海紀三朗・文部科学相へ答申した。文化相は近く答申通りに指定する予定。
今回、キリスト教関係の建造物で答申を受けたのは、青山学院ベリーホール(東京都渋谷区)、同間島記念開館(同)、日本基督教団島村教会教会堂(群馬県伊勢崎市)、同島村めぐみ保育園本館(同)、同別館(埼玉県深谷市)、瀬留カトリック教会聖堂(鹿児島県大島郡龍郷町)、同司祭館(同)の7件。最も古いのは島村教会教会堂で、1897(明治30)年の建築。青山学院は、同院の建造物においては、今回が初めての登録有形文化財指定となる。
青山学院ベリーホールは1931(昭和6)年、神学部校舎として建築された。関東大震災後、倒壊した同院の校舎復興に尽力し、同ホール建築のためにも貢献した当時の神学部長A.D.ベリー博士にちなんで現在の名前が付けられた。戦時中には、中央聖壇にある十字架を軍の要請によって危うく提出しなければならない状況になったが、当時の用務員であった小島夫妻がその居室にかくまって、終戦後再び聖壇に戻したというエピソードも残っている。
要所がアーチや繊細な彫刻で飾られ、華やかな意匠となっており、ホール内には現役で活躍するオルガンとしては日本最古といえるドイツ・ヴァルカー社の1932(昭和7)年製パイプオルガンが備え付けられている。歌「学生時代」でも、礼拝堂をイメージして「蔦の絡まるチャペルで、祈りを捧げた日」として詠われている。一部平屋建の鉄筋コンクリート造3階建。ゴシックを基調とした厳格な左右対称の建造物となっている。
ベリーホールと共に同院青山キャンパスの中央ロータリーに面して建つ間島記念館は1929(昭和4)年、図書館として建築された。当時、中央図書館新築の計画が持ち上がり、校友会会長であり理事であった間島弟彦氏が建築のための寄付を申し出て、また死後には愛子婦人がそいの遺志を引き継いで建てられた。建物正面にはコリント式の円柱が連なり、本格的な古典主義構成を持つ建造物となっている。
一方、伊勢崎市境島村にある日本基督教団島村教会教会堂は、田園風景の中に建つ木造の建物で、半分切妻の屋根とハーフチンバー風の玄関が特徴となっている。木造平屋一部2階建で、初めに平屋の礼拝堂が建築され、1950年(25年)に2階部分が増築された。教会付属のめぐみ保育園本館は、教会堂の増築時に建築された木造平屋建。一方、同別館は隣接する埼玉県深谷市に位置している。
1904(明治41)年建築の瀬留カトリック教会聖堂は木造平屋建で、外部は下見板張で内部は3廊式。1932年(昭和7)年建築の司祭館の外部も、聖堂と同様の下見板張となっている。カトリック信者の多い同地に残る教会として歴史的景観に寄与するとして挙げられた。