フランスのベルナール・クシュネル外相が、数週間以内にイラク人キリスト教徒約500人を国内に受け入れると発言したことが、AP通信の情報で19日までにわかった。
同通信によれば、クシュネル外相はテレビとラジオの同時インタビューで、受け入れ計画について触れ、イラク人、特にカルデア典礼教会のイラク人が数週間以内にフランスにいることを期待する、と語った。また、パリにカルデア人コミュニティーが存在することを挙げ、イラク人キリスト教徒を保護する上でフランスが果たすべき役割を示唆した。
クシュネル外相は昨年11月に行われたシンポジウム「中東キリスト教徒の未来は」の中で、「私は以前イラクを訪れたが、私としてはそこでカルデア人たちの運命を見たようだった」と語り、03年の米国による攻撃以来、人口3%のキリスト教徒が現在は半数にまで激減していることに危機感を示していた。
人権派で知られる外相は、中国チベット自治区の騒乱を受けて18日、北京五輪開幕式のボイコットについて「欧州連合(EU)に加盟する27カ国で討議することを排除しない」と発言するなどしている。
イラクで少数派となるキリスト教徒は特に政治的、軍事的権力が弱く、迫害や強制移住などによって根絶してしまうのではないかと危惧されている。イスラム国家のため迫害もひどく、先月29日にはカルデア典礼教会のパウロス・ファライ・ラホ大司教が武装グループに拉致され、今月13日に遺体で発見されている。