教会の代表者らが集まりHIV・エイズ問題に取り組む「ポジティブ・チャーチ・カンファレンス」が15日、英国のブラックネル・ファミリー教会で行われた。キリスト教慈善団体のティアファンドが主催し、米サドルバック教会でエイズ問題について主導的に取り組むケイ・ウォレン氏や、英国国教会の国際開発部門で代表を務めるデイビッド・ペック氏らが講演。300人以上が参加した。
大会は、エイズ問題の現状や、エイズ問題に取り組む世界の各教会を紹介するだけにとどまらず、参加者一人ひとりに「自らの教会がエイズ問題について一体何を出来るのか」まで問う、より実践的な内容となった。
ウォレン氏は講演で、アフリカのエイズ問題を取り扱ったある雑誌の記事を通して、同問題に積極的に取り組むようになった経緯を語り、「どうしてこれほど多くの子どもたちが一つの地域で孤児になることができるのでしょうか。一人ひとりに名前を付けることも出来ない」と、事態の重さを語った。
「私の信仰が、この重大な問題を取り組むようにしなかったのは、何が問題だったのか」とウォレン氏。自らの信仰を省みつつ、現在もHIV感染者、エイズ患者が受けている差別、偏見を取り除くことに、教会が協力して欲しいと語った。
「本当は、病気になることは罪ではないし、またどのように(HIVに)感染したかによって我々の対応が変わるべきではない」、「我々は、病人に対して、希望と思いやり、また癒しをもって接するよう求められている」と強く訴えた。ペック氏もHIV感染者やエイズ患者が受ける差別、偏見について、「我々が今求められていることは、これまでの間違った認識を悔い改め、正しい理解のために力を注ぎ、集中することだ」と語った。
ウォレン氏は、夫のリック・ウォレン牧師と共に05年、世界で初めてとなる教会によるエイズをテーマにした国際会議を開催し、3回目の開催となった昨年は、世界の教会関係者ら1700人が参加した。
大会ではこのほか、ティアファンドのHIV大使であるパトリシア・サウォ氏、会場となったブラックネル・ファミリー教会のシモン・ベンハン牧師も講演。さらに、HIV感染者、エイズ患者への具体的な援助方法や、エイズ問題に取り組む教会リーダーをどのように立ち上げていくべきか、エイズ問題における聖書的な対応についてなどをテーマにしたセミナーも行われた。
国連の報告によると、世界のHIV感染者は現在3300万人以上いるとされている。年間の死者数は子ども33万人を含む200万人以上。国連合同エイズ企画(UNAIDS)によれば、毎日1000人以上の子どもがHIVに感染した状態で生まれ、そのうち90%はアフリカの子どもたちだとされている。また、新たにHIVに感染する人の半数は、15歳以下の子どもたちで、年間250万人の子どもたちが新たなHIV感染者となっている。