ドイツ福音主義教会連盟(EKD)とスイスプロテスタント連盟(SEK)、および日本キリスト教協議会(NCC)は22日、東京都千代田区の在日本韓国YMCA9階大会議室で「NCC宗教改革500年記念:第7回日独教会協議会 いま、宗教改革を生きる―耳を傾け共に歩む―」を開始した。日程は29日まで。
「宗教改革から500年を記念して、スイスとドイツからの講演者、聖歌隊をお招きします。神と人を愛するようにとの私たちの課題をもう一度、考えてみませんか。カトリックの聖歌隊やコンテンポラリーミュージックのグループも加わってくださり、詩編を賛美します」と、同協議会のチラシには記されている。
午後6時からドイツ語と日本語で行われた開会礼拝では、EKDディアコニア部門(ディアコニア+世界へのパン)のウルリッヒ・リリエ議長がドイツ語で説教を行った。同議長はドイツやスイスそして日本から30人を超える出席者に対し、聖霊降臨に関する使徒言行録2章1~11節を引用して御言葉に耳を傾けてみるよう呼び掛け、スクリーンに映し出された日本語訳で、「この箇所は翻訳すること、話すこと、聞くことがテーマの壮大な映画でもあります」と述べた。
そして、「聖霊が私たち親愛なる兄弟姉妹に働いて、これからの日程の中で、この聖なる三和音が私たちの出会いを、新しいけれども同じ波ある旋律で豊かにし、私たちが聴き、話すことに共通の言葉を贈ってくださいますように」などと語り、「御言葉と私たちお互いのために、神ご自身が私たちの感覚や心や耳を開いてくださいますように」と結んだ。
その後、この礼拝の司会でNCCドイツ教会関係委員会の菊地純子委員長が、「この礼拝を持ちまして、第7回日独教会協議会を開催いたします」と宣言した。感謝ととりなしの祈りで菊池氏は、「主なる神様、あなたはあなたの教会をこの世の真っただ中に据えてくださいました。そして私たちをその枝に加えてくださいました。感謝いたします」と述べた。
その上で、「どうかあなたの教会に忠実な説教者と教師をお与えくださり、あなたの御言葉を委ねられた全権をもって告知させてください。どうかあなたのご意思を求めながら、御名を恐れずに告白する者たちを、不従順であるよりはむしろ主イエス・キリストの屈辱を担う者たちをお与えください。あなたの教会を地の塩・世の光としてください。そして隠れることなくあり続ける山の上の町にしてください。私たちをあなたの栄光と恵みを告知することができるよう、またその意思を持つようにしてください」と祈った。
「あなたの教会が争い分離していることは私たちの罪であることを見抜かせてください。どうか私たちをあなたの真実へと導いてください。そして目に見える教会に一致への愛と寛容をもって働く者にしてください。共におらせてください。そしてイエス・キリストの体に連なる者へと再び共々に導いてください」と続けた。
そして、「道に迷った者を引き戻してください。不安に怯(おび)える者に勇気を与えてください。迫害されている者に寄り添ってください。試みに遭っている者たちをあなたの愛へと救い出してください。孤独な者たちに寄り添ってください。そして死に行く者たちを助けてあなたへの信仰を持ちながらこの世の命を閉じることができるようにしてください。私たちを日ごとに御名をたたえる者へと新たにしてください。ついには顔と顔を合わせてあなたを見ることができ、栄光のうちにあなたに仕えるときまで」と祈りを結び、続いて出席者らと共に主の祈りを祈った。
開会礼拝の後、同大会議室では交わりの時がもたれ、ここから報道関係者による撮影が認められるとともに、スイスとドイツからの代表者らの紹介やNCCとの贈り物の交換が行われた。この交わりでNCCの小橋孝一議長が歓迎のあいさつを述べた。
小橋氏は、日本の植民地支配下にあった韓国からの留学生がこのYMCAで独立宣言をし、そこから韓国全土で独立運動が広がっていったが、日本政府の弾圧によって抑えられてしまったと述べた。「その後、日本は韓国を支配し続け、その経済を奪い、政治の独立を奪い、そして先ほどのペンテコステの聖霊とは逆に、民族の言葉も奪ったわけです」と話した。
小橋氏は、「韓国の文化を奪い、人間の尊厳を奪い、女性の尊厳を踏みにじった。そして、アジア全土にそのような侵略を進めていったわけです」「そのような日本の罪を最初に公然と告発した、そのような場所であるということをお覚えいただいて、このプログラムを始めていただければありがたい」と語った。
NCCドイツ教会関係委員会によると、日本からもっと多くの参加者を招待したが、熊本・大分などの地震のために来られなかったという。
この協議会は、在日本韓国YMCAで23日(土)午前10時から正午まで、講演会Iとしてルター派教会の伝統から、マルゴット・ケースマン氏(EKD宗教改革記念事業特命大使、元EKD議長)が「信仰と霊性のディアコニアとの関わり―こんにち、宗教改革から示唆を受ける―」と題して講演する。続いてウルリッヒ・リリエ氏が「なぜディアコニアなのか? 教会の徴(しるし)・ディアコニア―」、ヒッレ・リヒャーズ氏(EKDディアコニア現場担当者)が「現場から:コミュニティ形成に向けた組織作り」と題して講演を行う。
同日午後1時からは、講演会IIとして改革派教会の伝統から、クリストフ・ヴェーバー=ベルク氏(スイス連邦・アールガウ州教会議長)が「スイス宗教改革とディアコニア」、シモン・ホーフシュテッター氏(SEKディアコニア担当幹事、ベルン州立実践神学助手)が「スイスの改革教会でのディアコニア」と題してそれぞれ講演する。
その後、講演者を囲んでパネルディスカッションが行われる予定。午後4時半から6時までは、エキュメニカル・チャリティーコンサートとして、カベラ・グレゴリアーナ(聖グレゴリオの家聖歌隊)とカントゥス・カーヌム(ドイツ改革派教会聖歌隊)、そしてコンテンポラリー・クリスチャン・ミュージックのグループ、JCコーナーストーンが出演する。
29日には午前10時半から在日本韓国YMCAで閉会礼拝と聖餐式が行われる。菊地氏によると、その前にこの1週間の恵みを確認する文書を共有するという。また、24、27、28、29日には、協議会に付随するANNEXプログラムが予定されており、24日(日)には次の六つの場所で行われる。
聖グレゴリオの家(東京都東久留米市)の聖堂では、同日午前10時半からミサが行われ、午後3時からカントゥス・カヌムによるチャリティーコンサートが聖グレゴリオの家の支援のために行われる。27、28日にはワークショップが予定されている。
日本福音ルーテル東京教会(東京都新宿区)では24日午前11時から、宗教改革500年プレイベント「ドイツフェスタ」が行われる。日本聖公会阿佐ヶ谷聖ペテロ教会(東京都杉並区)では同日午前10時半から、EKDの東アジア・オーストラリア・太平洋・北アジア担当幹事のクラウディア・オスタレク氏を説教者に迎えて聖餐式を行う。日本バプテスト浦和キリスト教会(埼玉県さいたま市)では、同日午後2時半からウルリッヒ・リリエ氏を講師に講演集会「国家/社会とキリスト教会」を開く。
日本基督教団西千葉教会(千葉県千葉市)では24日午前10時15分から、シモン・ホーフシュテッター氏が説教を行う。また、日本キリスト教会柏木教会(東京都新宿区)では同日午前10時からクリストーフ・ヴェーバー=ベルク氏(スイス連邦アールガウ州改革派教会牧師)が説教し、午後3時から「スイス改革教会の職制について」と題して講演を行う。在日大韓基督教会京都南部教会(京都府京都市)でも、時間はまだ明らかにされていないが、プログラムが予定されているという。
25日には、東京研修旅行の後、午後7時からドイツ語福音教会(東京都品川区)でケースマン氏の講演が予定されている。26日と27日には、スイスとドイツからの参加者らが福島県いわき市を根城にフクシマの放射線被害地の視察を行う。28日には望みの門(千葉県富津市)とかにた婦人の村(千葉県館山市)という二つの福祉施設を見学する。
29日の午後3時半からは、かにた婦人の村で、館山市のコーラス2団体とカントゥス・カヌムによるチャリティーコンサートが予定されている。