海上自衛隊のイージス艦「あたご」とマグロはえ縄漁船「清徳丸」が先月19日、千葉県野島崎沖で衝突し、漁船に乗っていた漁師父子が行方不明となっている事故で、日本キリスト教協議会(NCC、輿石勇議長、東京都新宿区)は4日までに、福田康夫首相らに向けた抗議の声明を発表し、被害者への謝罪や事故の原因究明などを求めた。
NCCは声明で、海難事故被害者への誠実な謝罪と賠償、事故の原因を徹底的に究明し、内閣・防衛省・自衛隊内部での責任の所在を明確にすることなど5項目を、福田首相のほか、石破茂防衛相、高村正彦外務相に求めた。
一方、声明は「海上自衛艦『あたご』の引き起こした海難事故に関する抗議と武力によらない平和づくりへの提言」として出され、「すべて剣を取る者は剣によって滅びるからです」と武力の放棄も訴えた。
同事故をめぐっては、最新鋭艦と漁船との衝突ということで、海自の監視や危機回避の取り組みが問題視され、漁船を視認したのがいつかなど事故に関わる重要な情報が二転三転、防衛省が海上保安庁の捜査前にあたご航海長を聴取したことが判明するなど、様々な問題が浮上している。
また、行方不明となっている吉清治夫さん(58)、長男の哲大さん(23)の捜索は、第三管区海上保安本部が2日、事故発生以来13日が経過し、荒天の日もあったため「生存の可能性が極めて低い」と判断し、打ち切りを発表している。