聖路加国際大学(東京都中央区)は、来年4月に開設を計画している「専門職大学院公衆衛生学研究科」(通称:公衆衛生大学院)の設置認可を3月25日付で文部科学省に申請したことを発表した。申請が認可された場合、同大における新しい大学院の設置は、1980年に私立大学では初めてとなる看護学研究科修士課程の開設以来37年ぶりとなる。
高齢社会の急速な進行と疾病構造の変化、増大する国民医療費、グローバル化が進む社会における新興・再興感染症などの解決には、従来の疾患治療を中心とした臓器別医学から、予防を中心とした社会の中の人間を全人的に診る医療への転換が求められている。
新たに設置する公衆衛生学研究科は、附属施設である聖路加国際病院の膨大な臨床データを活用した医療の質の評価、根拠に基づく医療(EBM)を学修するとともに、公衆衛生分野の諸問題をグローバルスタンダードに照らし合わせて解決する能力を育成する。国内外の教員による世界水準の教育を実践し、「社会における人間の健康と幸福の保持・増進に寄与する」高度専門職業人の養成を目指す。
公衆衛生大学院は、1日にオープンした新校舎「大村進・美枝子記念 聖路加臨床学術センター」内に入る。公衆衛生学の1専攻で、取得学位は公衆衛生学修士(専門職MPH : Master of Public Health)。定員は、1学年25人。修業年限は2年だが、1年・3年コースも設置する予定だ。
聖路加国際大学は、1920年にキリスト教宣教医ルドルフ・B・トイスラーが創立した聖路加国際病院附属高等看護婦学校を母体とし、キリスト教精神を基盤として、教育・実践・研究の有機的連携に基づき、国内外の看護保健に貢献する人材の養成を行っている。
2014年に学校法人聖路加看護学園から学校法人聖路加国際大学に名称変更し、聖路加国際病院を附属施設として一体化した。これにより、看護以外の領域である今回の大学院増設が可能となった。