現在世界には、2426言語の聖書が存在する。旧約はヘブライ語、新約はギリシア語と、初めは2言語だけであった聖書が、長い歴史の中でいくつもの言語に訳され、さらに同じ言語内でもいくども訳し返されてきた。各時代の聖書観、翻訳理論の影響を受けつつ「聖書を翻訳する」ことが続けられてきたが、その様々な翻訳理論を新しい視点で見直し、さらに翻訳の実際に触れることができる「聖書翻訳ワークショップ」が今月12、13日、東京・六本木の国際文化会館で開催される。
日本聖書協会と日本ウィクリフ聖書翻訳協会が共催で行う聖書翻訳をテーマとした初めての企画となり、講師には世界で唯一の聖書翻訳博士課程を持つアムステルダム自由大学の教授が来日。最新の翻訳理論と、翻訳宣教師による現場での実践が公開される非常に「珍しい機会」となっている。
今回来日するのはオランダのアムステルダム自由大学翻訳学教授のローレンス・デ・フリス氏。聖書協会世界連盟の翻訳コンサルタントを務め、インドネシアの聖書翻訳者としての経験も持つ。今回のワークショップでは、動的等価か逐語訳かなど翻訳方針の様々な違いはどこから生じるのか、また聖書学者と翻訳者という二者の役割の違いについて講演する。
その他ワークショップでは、アジア・大洋州地区ウィクリフ総主事の福田崇氏(日本ウィクリフ聖書翻訳協会メンバー)、学習院女子大学・日本文化学科日本語学教授の福島直恭氏、東南アジアで実際の聖書翻訳に従事する松村隆氏(同メンバー)らが講演。最終日には、デ・フリス氏、福田氏、松村氏を交えての、参加者らによるディスカッションの時間も設定されている。日本聖書協会・翻訳部では、「このような珍しい機会を多くの方に活用していただきたい」と、参加を呼びかけている。
参加費は1コマ(1時間半)1000円で、1日券(1日目は3コマ、2日目は2コマとディスカッション)は2000円。定員50人。時間は両日共に午前10時から午後4時半まで(受付は午前9時半から)。会場は、財団法人国際文化会館(住所:東京都港区六本木5‐11‐16)。問い合わせ、申し込みは、財団法人日本聖書協会・翻訳部(電話:03・3567・1989、FAX:03・3567・4436、Eメール:[email protected])まで。