米国連邦議会の下院は14日、過激派組織「イスラム国」(IS)のキリスト教徒、ヤジディ教徒や他の宗教的少数派に対する残虐行為を「大虐殺」と呼ぶ決議を満場一致で採択した。
下院決議第75号と題された決議は、下院議員のジェフ・フォーテンベリー氏(共和党、ネブラスカ州選出)とアンナ・エシュー(民主党、カリフォルニア州選出)によって起草され、昨年9月にフォーテンベリー氏が提出した。決議は、議会の200人以上の議員によって後援された。
「ISは統制下においた全ての地域で宗教的、民族的少数派を殺害したり奴隷にしたりしており、私たちはそれを知っています」と、下院多数党院内総務のケビン・マッカーシー氏(共和党、カリフォルニア州選出)は投票後に下院議場で語った。「私たちは彼らがしていることを知っており、もしそれを言わなければ私たちは恥じるべきです。ISは大虐殺を犯しています。彼らは非イスラム教徒、キリスト教徒、ヤジディ教徒や他の人たちを標的としており、絶滅させようとしています」
「世界は目をそらすことはできません。オバマ政権はこの問題をただ見過ごしているわけにはいきません」とマッカーシー氏。「今日、下院は大虐殺が起きていると世界に宣言するために固く立ちます。害悪は現にあり、止められなければならないからです。私たちは、政権にも参加してくださるよう願います。私たちは、悪を直視し、対決しなければなりません。もし私たちが立ち上がらなければ、無実の人の血がさらに流されるでしょう」
議場での投票前の討論において、フォーテンベリー氏は、さまざまな問題において、両党の政党の議員が「小さく困難な(政治的立場の)相違を超えて」超党派の合意に達することはまれだと言及した。
「この両党をまたがる決議が、キリスト教徒、ヤジディ教徒や他の人々に対する恐ろしいISの暴力を、『大虐殺』というさらにふさわしい名前で呼ぶように国際的コンセンサスを築くよう、国務省に行動させるものとなることが、私の心の底からの希望です」とフォーテンベリー氏は取材に対して答えた。
ケリー国務長官は17日、ISがキリスト教徒らに対する「大虐殺」に関与していると公式見解を表明した。
下院は14日、オバマ大統領に対し、戦争犯罪法廷の設置を促すよう国連大使に命令を下すことを求める別の決議を採択した。この法廷では、シリアのアシャル・バサド大統領政権によるものも取り扱うことができる。決議は賛成392対反対3で可決した。
「私たちはまた、シリアで他に何が起きているかを見逃すことができません。アサド政権と体制派は、驚異的な規模で無差別殺人を行っており、拷問、強姦、化学兵器、たる爆弾、包囲による兵糧攻めなどを行っています」と、マッカーシー氏は投票の後のコメントで述べた。「シリア政権は数百万人を標的としており、数百万人が苦しんでいます」