【CJC=東京】世界教会協議会(WCC)は今年60周年を迎えた。創設された1948年は第二次大戦直後。それから今日まで、WCCを取り巻く世界、またWCCの抱える課題は大きく変化した。
南アのアパルトヘイト(人種隔離)政策反対闘争や、東西対立の仲介役としてWCCは、70年代と80年代には目立った存在だった。しかし近年、WCCが注目されることが少なくなっている。それは、そのような大きな課題がないことにもある。さらに収入減少に直面して、WCCの存在感が薄れている。
ENI通信によると、創立60周年記念の中央委の直前、WCCへの負担金が高額なドイツ福音教会のマーチン・ヘイン監督(WCC中央委員)はこう指摘した。
サミュエル・コビア総幹事は「何十年間も、エキュメニズムは、資本主義と社会主義との闘争と二十世紀の超大国2国間のいわゆる冷戦に大きく影響された」と語っている。しかし二十一世紀に「最も活力があり、最も急増している教会は欧州や北米にではなく、アフリカ、アジア、ラテンアメリカ(中南米)にあり、それらの多くはカリスマ派かペンテコステ派に属している」と、コビア総幹事は言う。自身はメソジストでケニア出身。
ヘイン監督は「WCCが、政治的な課題と今後も取り組むこととなろうが、共通の目的がないのではないのでは、という印象を持つことが問題だ。WCCは、あらゆることに関わろうとしているが、ミニ国連になる必要はない」と、EPD通信とのインタビューで語った。
WCCに加盟したのは、元来ほとんど北米と欧州のプロテスタント教会や英国国教会(聖公会)だった。それが現在、英国国教会、プロテスタント、正教会の347教会に達している。ローマ・カトリック教会は正式メンバーでないが、多くの問題でWCCと協力している。
中央委員会はWCCの新しいコミュニケーション戦略を検討することになる。2006年の会議で、この分野への展開強化が決められた。ブラジルのポルトアレグレで開催された総会で、WCCは「活動を少なく、それを効率的に」という方向が定まった、とヘイン氏は指摘する。
しかし「多くの領域で批判的に見る必要がある。ジュネーブの本部では多くのことが行われるが、それが外の世界に発信されない。発信出来るだけのビジョンや見解を持てなければ、WCCの広報に反応が少ないと非難することは不当だ」と言う。
中央委は、7年毎に開かれる総会の間、WCCの最高執行機関であり、1年から1年半ごとに開催される。中央委は、総会決議を執行、プログラムを見直し、予算案を承認する。
ドイツのプロテスタント教会はWCCの収入の3分の1を負担しているが、今後は負担額を減らしたい、としてヘイン氏は「他にも豊かな教会が北半球にはある。アメリカの教会や正教会は負担を強化出来る立場にある。資金的負担を軽減する仮会員資格などと言うものはあってはならない」と述べた。
WCCマーク・ビーチ報道担当はENI通信に「ドイツの教会の貢献とそれらが全体としてWCCの活動を支えていることに非常に感謝している」と述べた。EKDなど加盟教会と問題を協議中であり、今回の中央委でも討議される、と言う。
2月13日からの60周年記念会議前に、ヘイン氏がWCC事務局を批判したことについて質問されて、ビーチ氏は「あらゆる組織が自己検討を迫られている。WCCは加盟教会の声を聞かなければならないし、そうする。WCC執行委員会は、スタッフがプログラムに優先順位を付けるべきだ、と指摘しており、その結果を中央委に提出する予定だ」と答えた。