【CJC=東京】1967年から国際規模で聖書翻訳事業を進めている「ウィクリフ・アソシエイツ」(WA=本部・米フロリダ州オーランド)が、「世界ウィクリフ同盟」(WGA、本部・シンガポール、1991年結成)との提携関係を更新しないと発表した。米宣教専門ANS通信が報じた。
決定は、WAが2月26日に開催した理事会で行われ、ブルース・スミス会長が3月1日、本部でスタッフやボランティアに発表した。各提携団体には直接、または電話や電子メールで伝えたという。
スミス会長は提携解消の理由を、まず、聖書翻訳の際、どの言語でも「父」と「神の子」に関して文字通り訳出することをWAが固執しているからだとしている。WGAには、聖書訳出に際して「父」と「神の子」を含めない団体も加盟している。WAは、「父」と「神の子」を字義通りに訳すことに関しては妥協する余地はない、と同会長は公式声明でも述べている。
WAの報道担当は、WGAには200以上の団体が加入しており、聖書は各土地で使われている言語に訳出するのを使命としており、「WGAは、イエスが神の子であることを受け入れないイスラム教社会など特定の文化圏での聖書翻訳は、イエスを権威づける適当な文脈を用いる必要があるという。WAは、イエスの権威を字義通りに訳出するのは『神の子』だと信じる」と語った。
WAは2015年、スタッフ、ボランティア合わせて6279人で、75カ国での聖書翻訳推進のために活動している。今回のWGAとの提携解消の中身が本質的であるだけに、和解の道は困難を極めそうだ。