【CJC=東京】米メディア「クリスチャニティ・トゥデイ」によると、聖書翻訳団体の一つ「ウィクリフ・アソシエイツ」(WA=本部・米フロリダ州オーランド)がこの2月、アジアで翻訳活動に従事しているチームで新約聖書のほぼ半分を2週間で翻訳可能になったと発表した。そのペースが続けば、聖書を2カ月で訳出可能になる。
翻訳専門家から訳出の質について疑問の声が上がった。そんなに速くできるものの、良いはずがないと思われても当然。「人々に信じてもらえないのが最大の問題だ」とWAのブルース・スミス会長。
アジアの少数民族の中には、聖書訳出の優先順位を付けるには小さすぎるところもある。しかし自分の言語に聖書を訳出したいという熱意がWAに届いている。
WAは、聖書翻訳のスピードアップのため、これまでは巻ごとに順次訳出していたのを、同時訳出に変更。また固有名詞、イディオム、キータームなどの訳出に関する方針などの訓練を廃止した。
WAでは、訓練を受けたチームと訓練を受けないチームによる翻訳比較を昨年夏に行ったが、正確さに関しては同等だったので、新方式「並行翻訳戦略」への変更に踏み切った。この「不合理なやり方」が成功したのは、翻訳に当たる人たちが、自分の言語についても、原文の言語についても知識があるからだ、とスミス会長。
WAはアジア地域での活動のために翻訳者13人を集め、巻ごとにグループ分けした。それぞれが4福音書の一つに取り組んだ。1日12時間作業で、毎日34節訳出したという。2週間後に、福音書と第1テモテと第2テモテが完成という驚くべき成果が上がった。
スミス会長は「この戦略にとっても、13人の翻訳者にとっても、これで話が終わったわけではない」と話す。「この戦略が実際的なものかテストしてみたいという言語関係者の数が急増している。訳出された聖書を持つ言語の数が増大するだけでなく、今後さらにより多くの言語が聖書を持てるように訓練されたチームが拡大するだろう」と言う。