過去30年で最悪の干ばつに直面しているエチオピアで、1千万人を超える人々が食糧援助を必要としている。ルーテル世界情報(LWI)が2月25日付で報じた。
LWIが所属するルーテル世界連盟(LWF)は、同国の幾つかの州で被害を受けている地域社会を支援している。
「これは私がこれまで見た中で最悪だ」と、この地域で60年間以上も農業をしているウォディ・ゲライェさん(75)は語った。
「干ばつと大雨の短い雨期が周期的に起こっているために、このヒヨコマメという作物でさえも収穫が減退している」。彼は自分の手を差し出すと、ヒヨコマメを見せた。このタネでは、家族を養うほどの作物もよくできなかった。
この農夫は、妻と8人の子どもたち、そして4人の孫たちに食べ物を買うために、雄牛を売らなければならなかった。今や彼は自分の他の小さな畑を耕すための動物をもう持っていない―そして売るために残された物は何もない。
使い果たされたエネルギーや資源
国際連合は、1千万2千人が食糧援助を必要としていると述べている。
ゲライェさんのように、何百万人ものエチオピア人の農家が、自らのエネルギーや資源を使い果たしてしまった。「2015年は春も夏も雨―エチオピアではベルグとメヘルと呼ばれる―が降らなかったため、1千万2千人を超えるエチオピア人が緊急援助を必要としている」と、LWFの同国代表、ソフィア・ゲブレイェス氏は述べている。「状況は非常に重大だ。ベルグ雨期はすぐに始まるはずなのに、その訪れを示す通常の兆しがないのだ」
エチオピアで現在出てきている食糧安全保障の危機は、エルニーニョ前の春の雨が降らなかったことの結果であり、そしてエルニーニョが夏の大雨の兆候の遅れや不規則で早い中断を誘発した。被災者たちのうち600万人近くが子どもたちで、40万頭の家畜の死亡がこれまで報じられている。推計で200万人のエチオピア人に安全な飲み水がない。
LWFが農家を支援
LWFエチオピアはエチオピアで43年間活動してきており、干ばつで人々が最悪の打撃を受けた地域の多くで活動している。エチオピア北部のラリベラという地域で、LWFは「食糧安全保障と暮らし」というプロジェクトで農家を支援している。南東部のベールという地域で、彼らは「回復力」プロジェクトを行ってきている。
ゲライェさんは他の農家と共にLWFの緊急種子プログラムから恩恵を受けている。この季節のより早い時期に彼の作物が不作となったのを受けて、LWFは彼に31キロの種子を提供した。2014年、LWFはCLWR(カナダ・ルーテル世界救援)の支援を受けて食糧安全保障プロジェクトを開始したが、これは農家に農業技術を教えて収穫を改善し、気候変動に対処するものである。
その初めから参加している人たちのうちの一人がシャンブルさんで、彼は今や自分の最初の作物を収穫し、余剰を幾らか売ることさえできた。「これらのプロジェクトに参加し、そこで教えられたかんがい技術を用いた農家は、他の人たちよりも干ばつにずっとよりよく対処してきています。これらのようなプロジェクトは、あのエルニーニョの年のような困難な時でさえも人々の衝撃を和らげることができる」と、ゲブレイェス氏は語る。
このプロジェクトは4600人を超える人たちが恩恵を受けて現在の緊急事態に備えるための助けとなった一方で、差し迫った破局を避けるためには、はるかにより多くの助けが必要となるだろう。ACTアライアンスと共に、LWFエチオピアは、東部ハラゲ地方のいわゆるホットスポットと呼ばれる、四つの地域で実施されることになる「仕事のための現金」プログラムのような、食糧と収入のギャップを埋めるための企画で、エチオピアの人たちを支援するためのアピールを開始した。
「人々と家畜が飢餓の瀬戸際に立たされている」と、ゲブレイェス氏は警告する。「もし雨が降らなかったら、この状況は破局的となるだろう」
なお、日本国際飢餓対策機構(大阪府八尾市)でも、干ばつに苦しむエチオピアへの緊急支援を行っている。募金など詳しくはこちら。