キリスト教団体は、昨年ケニアで発生した干ばつによる飢饉で苦しむ250万人の救済のために懸命な支援活動を行っている。
昨年10月と11月、ケニアでは年平均降水量を下回ったことで北部及び東部で食料飢饉が発生し、栄養失調、家畜損失、食料をめぐる民族紛争まで起こっている。
キリスト教援助機関チャーチワールドサービス(CWS)が6日発表した報告書で、CWS緊急対策部門サム・ミュツア氏は、「ケニアの飢饉はきわめて深刻。CWSの現地調査員の報告によれば、深刻な干ばつは今なお続いており、現地の状況はますます悪化している」と伝えた。
カトリック海外開発援助機関のケニア地域マネジャーであるピーター・マギー氏は1日に発表された報告書で、「2005年度の少雨による干ばつの影響で、ケニアでは2007年2月まで十分な収穫が見込めず、食糧安全保障の状態は悪化する一方である」と述べた。
世界の諸教会による人道援助ネットワーク「アクト」によると、ケニア政府はケニアの一部を襲った飢饉の状況を国家的災害であると宣言し、ケニア人口の10%近くにあたる250万人もの人々に対して今後半年間にわたる食料支援を協力して行うよう、国内外の機関に呼びかけたという。
干ばつで苦しむ地域に対して国際NGO団体グローバルアライアンスとその提携パートナーは草の根レベルの支援を行っている。
2日、アクトはケニアのメンバーであるノルウェー教会援助、ルーテル世界同盟(LWF)、ルーテル世界救済(LWR)、CWS、ケニア聖公会らに、ケニア飢饉救済のために240万ドルを支援するよう呼びかけたという。
LWRは干ばつに対する耐久性のある穀物を育てるため、ケニアの人々に農業開発教育を施したり、作物の種や農業用器具、水道施設の整備などを支援している。
これについてLWR会長キャスリン・ウォルフォード氏は3日、「すでに政府や他の援助機関によって緊急食糧援助の手が差し伸べられているので、我々はただケニアの人々の現状を回復するだけではなく、今後の持続可能な発展のための援助に集中したい。長引く干ばつで人々は一日の大半を水を探すことに費やしており、子供たち、特に少女はしばしば学校を中退して水汲みを手伝わなくてはならない状況にある。人々の水道アクセスを容易にするためにも、我々は現地の人々の生活状況改善に努めてる。また種や農業器具を提供して耕作技術を教えることで、現地の人々が外部からの支援なしでも生活できるようにするなどの持続可能な援助をこれからも実施していく」と述べた。
アクトによると、ケニアの飢饉に直面した地域ではHIVウィルスによる死者が継続的に発生しているため、片親のみ、子供と祖父母のみ、あるいは孤児のみの家庭が大半を占めるという。
またアクトは"Food-for-Work"プログラムの一環として、人間と家畜双方に水を供給し、穀物のために土壌を灌漑することができる井戸やダムの建設を行っている。これにより、現地の2万世帯以上の住民を助けることができるという。
LWRはケニアでおよそ30年間支援活動をしており、食料安全性の改善、持続可能な食糧生産を行うための支援を積極的に行っている。