英国に拠点を置くキリスト教支援団体クリスチャンエイド、ルーテル世界救済(LWR)、ノルウェー教会援助らは、ここ数年で最悪の干ばつにより、脱水症や飢餓に苦しむ東アフリカの数百万人の人々のための救済活動を行っている。
国連によると、ケニア、ソマリア、エチオピア、タンザニア、ジプチにおいて1100万人が飢えに苦しんでいるという。
世界の諸教会で作る人道援助ネットワークアクト会員でノルウェーチャーチエイドのケニア、ソマリア、ウガンダ地域代表者は、「国際共同体は手遅れになる前に東アフリカで現実として発生しているこの深刻な食糧危機の現実に目を覚ますべきだ。我々は最悪の状況に対して準備をしている。しかし私が見た現実はおよそ言葉にできるようなものではない。状況は想像以上に凄まじい。我々は大災害に直面している。私は300頭の家畜を保持していた一家の話を聞いた。彼らの世帯では現在2,3頭の家畜しか生存していないという。このような状況は決して例外ではない。私はここに来て一本の草も一本の健康的な樹木も見ていない。彼らは本当に飢え苦しんでいる」と報告した。
これらの地域では家畜の約60%が死亡していると推定されている。
クリスチャンエイドによると、食料不足で人々が次々に餓死し、70%ほどの家畜が食料や水を探すために使われそのまま行方不明になっているという。
ノルウェーチャーチエイドは、「干ばつが始まって既に数百人もの人々と数千頭もの家畜が東アフリカ地域で既に命を奪われている。次の降雨は4月になるまで期待できそうにない。もし飲料水や食料の供給がすぐに行われなければ、すぐにさらに多くの死者が発生するだろう」と述べた。
クリスチャンエイド緊急対策専門家ドミニック・ナット氏は、人々が水を探しに何キロメートルもさまよっている状況を報告した。
ケニアでは350万人もの人々が緊急支援を必要としており、クリスチャンエイドはケニアの人々に5万2千リットルの水を一日に供給できる貯水タンクを提供したという。ソマリアでは全人口1000万人のうち少なくとも170万人の人々が飢えに苦しんでいるという。
クリスチャンエイドによると、ソマリアという中央政府を持たない各部族で分裂状況にある国においては、特に状況は深刻になっているという。
最近食料安全分析家は、ロイター通信に干ばつによるソマリアの現在の状況は1990年代始めにに何万人もの人々を餓死させた状況と比較することができると述べた。
EUおよび米国政府の食料安全分析ユニットのテクニカルアドバイザーのニコラス・ハーン氏は、もしこのまま降雨がなければ、さらに1万人以上の人々が毎月死亡するだろうと予測している。
ハーン氏は、「ソマリア南部は最も深刻な飢餓状態にある。被害該当地域の半数以上の人々が死亡する恐れもある」と述べた。
クリスチャンエイドはノルウェー教会援助と共同してソマリアの3万人の人々に対して飲料水を供給している。ノルウェーチャーチエイドの Kari Oyen氏は、「これらの人々は2年間降雨を待ち続けていました。しかしこれ以上は待つことはできません。私たちは緊急援助、良い収穫を得るための技術援助など彼らにできる全てのことを施し、将来干ばつに対応できるようにしなくてはいけません」と述べた。
多くのキリスト教団体はすぐにこの干ばつによる深刻な危機について対応したが、状況はそれにもかかわらず悪化しているという。
ノルウェー教会援助提携パートナーの東アフリカ長老教会は、干ばつに早くに対応し、ケニア政府が現在の干ばつは国家的災害だと発表する前に今後必要になる食料アセスメントを行った。そして世界長老教会に対し援助を要請し、1ヵ月以内に長老教会は7万ドル以上の食糧支援を施したという。
クリスチャンエイドは干ばつによって起こる貧困は繰り返し発生するだろうと述べ、さらにこの干ばつの悪化は、主に地球環境悪化、気候変動によって生じていると述べている。
ノルウェーチャーチエイドの Oyen氏は地球規模気候変動が東アフリカの深刻な干ばつの主要因であると信じており、「降雨パターンが変化しています。故に以前は干ばつはこの地域に5,6年おきに生じていたのですが、現在の干ばつは1,2年置きに生じるようになっています。2年と言う期間は地元の民が干ばつから十分に回復し次の干ばつに対応するための十分な期間ではありません。すべての人が苦しんでいます。そしてこの飢えに対する苦しみで食料の奪い合いによる紛争が悪化することになります」と述べた。
クリスチャンエイドはケニアのパートナーである聖公会を通じて干ばつの被害から人々を救うために植物の種子や地元灌漑設備を整える器具を提供し、干ばつに対応できる長期的支援対策を施しているという。