「自分にしてもらいたいと望むとおり、人にもそのようにしなさい」(ルカ6:31)
上記の聖書の言葉は、あらゆる人間関係の絆を強めるための黄金律です。もし、あなたが人間関係の達人になりたいのなら、この言葉を心の板に刻んで決して忘れないことです。
バンク・オブ・アメリカのロサンゼルス支店で起こったことです。銀行の駐車場は利用客に限って無料でしたが、乱用する人が続出したので、全員有料としました。ある日「有料になったことを知らなかったから今日は無料にしてくれ」と、ヨレヨレのシャツとジーンズ姿の60過ぎの男性が、窓口の係の人に頼みました。
彼の後ろには、順番待ちの人の列ができています。少しイライラした窓口係は、その男性に冷たく言い放ちました。「これはもう決まったことです。文句があるなら支店長に言ってください、ハイ、次の方!」
その男の人は再び列の最後尾に並び、そして自分の番が来たとき、自分の口座から全額を下ろし、向かいの銀行に移し変えてしまったのです。その額はなんと420万ドル(約4億6200万円)でした。窓口係のチョットした態度が、この銀行に大きな損失をもたらしたのです。
あるガソリンスタンドの壁に「なぜ、客は来なくなるのか」という張り紙がありました。
それによると、1パーセントは死亡、3パーセントは引っ越し、5パーセントは近くに他のスタンドができた、7パーセントは価格の問題。そして、84パーセントは従業員の無神経な態度。ここにも、従業員のお客様に対する態度の重要性というものが、はっきり示されています。
神奈川県秦野市に愛鶴(あいず)タクシーという会社があります。不況のタクシー業界で業績を伸ばしています。
以前、あるホテルと契約して仕事をしていたとき、そのホテルの支配人から「キミのところの会社はサービスというものが分かっていない、もう使わない」と言われてしまいました。社長の篠原さんは、その時へりくだってホテルの支配人を訪ねて「サービスについてゼロから教えてください」と頼みました。すると支配人は「その答えは聖書の中にある」と言ったのです。
そして上記の言葉「自分にしてもらいたいと望むとおり、人にもそのようにしなさい」を教えてくださったそうです。
それから社長の篠原さんは、一生懸命お客様のニーズはどこにあるのかを考えました。その中の一つのアイデアは、「福祉タクシー」というものです。身体障害者やお年寄りの人たちの立場に立ったタクシーです。
タクシーを改造し、運転手にはホームヘルパー2級の資格を取らせたり、手話を習わせたりしました。同業他社の人々は「昼間だけのタクシーがもうかるはずがない」と言って、篠原さんの試みを冷たい視線で眺めていました。
しかし、この試みは世間の人々に受け入れられたのです。社会的弱者に優しいタクシー会社というイメージが広がり、普通のタクシーの需要も伸びたのです。
ある人が病院の予約を取りました。医者が「どうしましたか」と聞くと、その人は「体中が痛いのです。膝、腰、腹、胸、こめかみ、どこを押しても痛いのです。年のせいでしょうか」
やがて検査の結果が出ました。医者は言いました。「あなたは指を骨折しています」。どおりで体中のどこを押しても痛かったわけです。
私たちの相手に対する態度は、この指のようです。態度が間違っていれば、何をしても失敗しますし、正しい態度を保てば、相手との絆はますます強まっていくのです。
◇