【CJC=東京】AFP通信によると、ルーマニア・トランシルバニア地方の小村にある教会廃墟で発見されたフレスコ画の一部は、イタリア絵画の巨匠、ジョットの傑作を中世に複製した非常に珍しい作品だと、ハンガリー人の歴史家が主張している。
ハンガリーの首都ブダペストに拠点を置く文化遺産保護団体「イシュトバン・モラー財団」のシラード・パップ氏が、AFPの取材に応じ、ルーマニアの首都ブカレスト北西430キロにあるジェルナ村の教会に残っていたフレスコ画の一部は、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂の装飾として使用されたジョットのモザイク画「小舟(ナビチェッラ)」を14世紀に複製した作品の一部だと述べた。
キリストが舟に乗った使徒らの前で水面を歩いている様子を描いた同作品は、ジョットが1300年ごろに制作したもので、10×14メートルの大作。14世紀の複製で現存するものは、これまでフランスのストラスブール、イタリアのフィレンツェとピストイアにある作品しか確認されていない。今回ルーマニアで発見されたフレスコ画について「これは間違いなく4作目」と言う。
パップ氏は「あの大作の複製が当時、ローマから遠く離れた小さな村のカトリック教会で制作されていたとは驚くべきことだ」として、「このフレスコ画を誰がどうやって描いたかという謎は永久に解けないかもしれない」と付け加えた。