巨額の費用をもって行われているベツレヘムの聖誕教会(降誕教会)の改修によって興味深い宗教的遺物が発見されたことで、宗教者や考古学者からさまざまな反響が出ている。
その遺物の正体はまだベールに覆われており、画像も公開されていない。真鍮(しんちゅう)、銀、貝殻、石で飾られたその遺物は、約1700年前に建築された建物の窓に近い場所で漆喰(しっくい)の下から発見された。現在、修繕と復元作業が進められている。
パレスチナのキリスト教関連についての大統領アドバイザーで、修繕を担うパレスチナ委員会代表のジアド・アル・バンダク氏は、そのイコンには「宗教的、歴史的に大きな価値がある」と語った。
4世紀に聖ヘレナによって建築された聖誕教会は、聖書に登場するヨルダン川西岸の町ベツレヘムに位置し、イエスの出生地といわれる洞窟の上に位置している。
報告書によると、この古代の大建築は、200年前に最後に修繕された著しく損傷した屋根、腐食した窓枠やほかの重大なトラブルにより、荒廃の憂き目に遭っている。ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)によって、存続が危ぶまれていると認定された。
修繕に向けての努力は2013年、パレスチナ当局が経済的にこのプロジェクトを率先して支援したことによって始まり、作業の第1段階は完了している。進行中の修繕作業はここ600年間で受けた修繕の中で最も包括的なものだ。
現在までに修繕作業のために800万ドル(約9億円)の資金が集められたが、さらに1100万ドル(約12億円)が必要になるとアル・バンダク氏は述べた。しかし、アル・バンダク氏は、パレスチナとイタリアの技師、修繕の専門家や歴史的な遺構の修繕についての専門知識を持つ労働者からなる合同チームが現在までに完了させた作業の成果に喜んでいると語った。アル・バンダク氏は、「初めて訪問して上層階に上がると、モザイクが実に壮大で美しく、世界で唯一無二のものであることが分かるでしょう」と話した。
十字軍の時代にできたモザイク画は、「数世紀にわたるチリ」を清掃した後復元され、本来の豪華さを取り戻した。天井と屋根の修理が進行中だが、モザイク画は落下や損傷を防ぐため、特別な綿ガーゼによって保護されている。
「私たちの国の遺跡や歴史を保護するとき、私たちは将来を保護するのです。ですから私たちはこのこと(修繕の第1段階の結果)をとても誇りに思います」とアル・バンダク氏は述べた。