【ジュネーブ=CJC】「かつて、地中海は『平和の海』と呼ばれていたが、今では『涙、恐怖、危険の湖』になっている」。世界教会協議会(WCC)が発表したところでは、ベイルートにあるアメリカン大学のタレク・ミトリ公共政策と国際関係研究所長が、ジュネーブで1月18、19の両日行われた、欧州での難民・移民危機に関する会議で語った。「地中海のエクソーダス(大量脱出)は、国際社会の失敗を浮き彫りにしているのではないか。その失敗は、欧州各国のものであるばかりかアラブ各国のものでもある」と言う。
会議は世界教会協議会、ユニセフ、国連人口基金、国連難民高等弁務官事務所などが共催した。
中東を見ると、シリア内戦では400万人の難民が発生、何としてでも欧州を目指そうとする人が増えている、としてミトリ氏は、中東とアフリカ北部からの難民・移民が、トルコとリビアなど北アフリカから欧州へ運ぼうとする密輸業者に頼らざるを得ない、とミトリ氏。自国のレバノンでも今では人口の4分の1はシリア難民。その子どもたちの中で就学しているのはわずか10パーセント、非識字率は25パーセント、難民の70パーセントは貧困線以下の生活を強いられているという。
「強制退去により受けた苦痛を軽減することは、欧州だけでなく他の全てが担い合うべき責任」とする声明を会議は採択した。
さらに、政府、民間、国際機関などが、難民・移民に安全で人道的な環境を用意し、そして戦争、暴力、抑圧を逃れるために人々が緊急に必要とするものに応えるよう、堅実で調和の取れた方法で協力することが必要だとして、それを達成するため、会議で提起された問題を四半期ごとに検討することで合意した。