英国イングランド南東部のカンタベリーで11日から16日まで開かれている聖公会の世界的共同体「アングリカン・コミュニオン」の首座主教会議は14日、合意文書の全文を発表し、同性婚問題をめぐって自由な立場を取ってきた米国聖公会の参加などを停止することを明らかにした。
同文書には、「米国聖公会がもはやエキュメニカルおよび宗教間の組織において私たちを代表することはなく、内部の常設委員会で任命や選出をされるべきではなく、そしてアングリカン・コミュニオンの内部機関に参加する一方で、教義や政治に関するいかなる問題についても意思決定に参加することはないことを、3年間義務づける」などと記されている。
以下は、アングリカン・コミュニオン・ニュース・サービス(ACNS)に掲載されたその全文を、本紙が非公式に日本語に訳したものである。なお、日本聖公会による公式な日本語訳はまだない。
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結婚についての私たちの理解に関して、私たちの間に存在する現在の深い相違に鑑みて、私たちは、キリストにある私たちの一致をどうすれば保つことができるのか祈り、そして考えるために、聖公会の首座主教として集まった。
結婚に関する法規の変更に関する、米国聖公会における最近の展開は、私たちの首座主教が持っている信仰や教えから根本的な離脱を表している。他の管区においてあり得る展開は、この状況をさらに悪化させかねない。
私たちは皆、これらの展開が私たちアングリカン・コミュニオンを通じてさらに深い痛みを引き起こしてきたことを認める。
聖書の教えに照らした教会の伝統的な教義は、結婚を男と女の間における忠実で生涯にわたる結合として擁護している。集まった人たちの大多数はこの教えを再確認する。
以前の首座主教会議の一貫した立場を踏まえて、教義の問題に関する公同の一致なきそのような一方的な行為を、私たちの多くは、アングリカン・コミュニオンにおけるお互いの関係のうちにあることを通じて示唆される相互の責任と相互依存からの離脱とみなす。
そのような行為は私たちの交わりをさらに損ない、私たちの間により深い不信を創り出す。これは私たちの間における重大な隔たりという結果をもたらし、「コミュ二オンの器」(the Instruments of Communion 訳者注:カンタベリー大主教、ランベス会議、首座主教会議、全聖公会中央協議会の4つを指す)が持つ機能と、私たちが自らの歴史的および現在進行中の関係の表し方に、大きな緊張をもたらす。
共に歩むことは私たちの全会一致した願いである。しかしながらこれらの問題が持つ重大さに鑑みて、私たちは、米国聖公会がもはやエキュメニカルおよび宗教間の組織において私たちを代表することはなく、内部の常設委員会で任命や選出をされるべきではなく、そしてアングリカン・コミュニオンの内部機関に参加する一方で、教義や政治に関するいかなる問題についても意思決定に参加することはないことを、3年間義務づけることによって、この隔たりを正式に認める。
私たちは、関係の回復、相互信頼の再建、傷の遺産を癒やすこと、自らの共通性の程度を認めること、そして自らの深い相違を探ることという意図をもって、それらがキリストの愛と恵みのうちに私たちの間に確実に保たれるようにしつつ、自らの間での話し合いを維持するための任務群を任命するよう、カンタベリー大主教に求めた。