大阪府堺市の2011年当時の全有権者約68万人の個人情報が、3カ月間にわたりインターネット上で公開されていたことが14日、堺市の調査で分かった。堺市会計室の課長補佐(59)が無断で個人情報を外部に持ち出し、個人で契約したレンタルサーバーに公開された状態で保存していたという。
堺市の発表によると、課長補佐は2011年11月に行われた大阪府知事選挙時の約68万人の有権者データなどの個人情報を含む15のファイルを、民間レンタルサーバーの公開される部分に保存。全15ファイルのうち、約68万人の有権者データを含む6ファイルが外部からアクセスされ流出していたことが新たに判明したという。流出した有権者の個人情報は、氏名、性別、年齢、生年月日、住所、郵便番号。今年4月から6カ月までの3カ月間、インターネット上で閲覧可能な状態だったという。
一方、これら全15のファイルに含まれる個人情報の2次流出による被害の発生は、現時点で確認されいないという。また、外部からのアクセスは、2つの通信事業者(プロバイダー)を介して行われた2つのIPアドレスからのものであることも確認しているという。
堺市は、流出した個人情報を保全し2次被害の発生を防止するため、通報者や外部からのアクセス者に対して、情報の提供や、個人情報の返却、消去を求めるべく接触を試みているが、現時点では直接接触するまでには至っていないという。引き続き、接触を試みるとしているが、万が一2次被害の発生が確認された場合は、あらゆる法的措置を講じるとしている。
堺市によると、課長補佐は、自宅に持ち帰った選挙補助システムを改良して自作のシステムを開発し、複数の民間企業に売り込もうとしていたという。有権者データもその過程でレンタルサーバー上に保存したとみられる。また、持ち帰ったデータを意図的に削除するなど証拠隠滅を図ったという。
堺市は課長補佐を懲戒免職にするとともに、適正な手続きを経ずに課長補佐に個人情報を含むデータを提供したなどとして、堺市教育委員会事務局地域教育支援部の係長(56)も懲戒戒告にするなど、市職員計7人に対して懲戒処分、または服務上の措置をした。さらに、関連した2つの外郭団体も、合わせて1人を懲戒処分、3人に服務上の措置をした。
一方、課長補佐に対しては、地方公務員法(守秘義務)違反と堺市個人情報保護条例(不正盗用)違反で刑事告訴することを検討しており、現在、警察と相談しているという。