今、私たちの目の前にある現実がいくらつらく苦しくとも、そのつらい現実の裏に広がっている神様の恵みは、いつでも私たちの想像をはるかに超えることを忘れてはなりません。私たちにいつも溢れる恵みを下さると約束されるよき神様を信じ、毎日毎日楽しく喜びの心をもって生きていくとき、私たちは全てのことにおいて余裕をもって勝利することができます。これがまさに、キリスト者が求めるべき喜びの力です。
喜びの秘訣
ずっと昔のことですが、社会的地位のある方が、体の調子が悪くて健康診断を受けるため病院に行きました。検診の結果、彼は驚くべきことに肝臓がんだと判明して、28日後には亡くなりました。普段からお酒を多く飲むほうではありましたが、スポーツ万能で、一度も風邪をひいたことがないような健康体質の方でした。その気にさえなれば、いくらでもがんを克服するだけの体力を備えていました。
そんな彼が肝臓がんという言葉に衝撃を受け、一瞬にして気力が抜け落ち、がんが全身に急速に転移して亡くなってしまったのです。この様子を見守っていた医師は、「かえって患者が肝臓がんだということを知らなかったなら、6カ月または1年は長く生きられただろうに」と言ったそうです。
この話を通して、人間がどれほど弱い存在であるかをもう一度悟ることができます。私たちがこの世に生きる間、何よりも念頭に置くべきは、心をよく治めるべきだということです。聖書を見ると、使徒パウロも福音を伝えながら数えきれないくらいに死の瀬戸際に立たされることがありました。しかし、彼は心が弱くなったり、諦めたりしませんでした。逆に喜びと感謝がいつも満ち溢れていました。ピリピ人への手紙には「喜びなさい」という言葉が非常にたくさん出てきます。
「いつも主にあって喜びなさい。もう一度言います。喜びなさい」(ピリピ4:4)
ピリピ人への手紙は、使徒パウロがピリピにある教会の聖徒たちに対して、どんなことがあっても喜ぶように勧めた手紙です。しかし、当時のパウロの状況を考えると、この言葉は簡単には理解できません。なぜなら、使徒パウロがピリピ人への手紙を書いた場所は、牢獄だったからです。牢獄に閉じ込められている人が、外にいる人たちに対して「いつも喜びなさい」と勧めているのは、理解に苦しみます。
ところが、よく見てみると、使徒パウロはピリピ人への手紙4章13節を通して「私は、私を強くしてくださる方によって、どんなことでもできるのです」と、喜ぶことのできる秘訣を提示しています。つまり、「強くしてくださる方によって」なら、どんな状況においても喜ぶことができるということです。パウロの語る喜びの秘訣は、自分を強くしてくださる方にのみより頼み、徹底的に低くなることにありました。自分の罪と咎がキリストと共に十字架に釘付けられて死んでこそ、キリストの復活の力が現れるという事実を知ったのです。
それで使徒パウロは、自分自身をもっと低くしようとしました。たとえ牢獄に入れられている囚人の身分であっても、イエス様による喜びは誰にも奪えませんでした。かえって彼は、世の中が知ることのできない喜びと幸せをもって生きていきました。これこそが、世の中が知ることのできない喜びの霊性であり、福音の力です。
私たちが福音の中に住むなら、世の中が与えることのできない、知ることもできないまことの平安が、私たちの心に臨みます。いつも喜び、感謝できるようになります。福音の中で自分が低くなればなるほど、私たちの働きと役割は大きくなっていきます。私たちを強くしてくださる方の中で低くなることで、私たちはより大きな喜びを味わいながら生きることができるようになります。
(イ・ヨンフン著『まことの喜び』より)
*
【書籍紹介】
李永勲(イ・ヨンフン)著『まことの喜び』 2015年5月23日発行 定価1500円+税
苦難の中でも喜べ 思い煩いはこの世に属することである
イエス様は十字架を背負っていくその瞬間も喜んでおられました。肉が裂ける苦しみと死を前にしても、淡々とそれを受け入れ、後悔されませんでした。私たちをあまりにも愛しておられたからです。喜びの霊性とは、そんなイエス様に従っていくことです。イエス様だけで喜び、イエス様だけで満足することを知る霊性です。神様はイエス様のことを指し、神の御旨に従う息子という意味を込めて「これは、わたしの愛する子」(マタイ3:17)と呼びました。すなわち、ただ主お一人だけで喜ぶ人生の姿勢こそが、神の民がこの世で勝利できる秘訣だということです。
(イ・ヨンフン著『まことの喜び』プロローグより)
お買い求めは、アマゾンまたはイーグレープのホームページにて。
◇
李永勲(イ・ヨンフン)
4代続くキリスト教家庭に生まれ、幼い頃から主日学校に通いながらヨイド純福音教会と深い関わりを持ってきた。延世大学および韓世大学、連合神学大学院を卒業し、アメリカのウェストミンスター神学大学院修士課程を修了した後、アメリカのテンプル大学において宗教哲学修士(M.A.)と宗教哲学博士学位(Ph.D)を取得した。アメリカのワシントン純福音第一教会、日本のフルゴスペル東京教会、アメリカのLAナソン純福音教会の担任を務め、国際神学研究院院長、韓世大学教授、アメリカのベテスダ大学総長、ヨイド純福音教会教務担当副牧師などを歴任し、対外的には韓国キリスト教総連合会(CCK)共同会長と韓国キリスト教教会協議会(NCCK)会長などを歴任した。
現在、ヨイド純福音教会の2代目担任牧師として、韓国キリスト教総連合会(CCK)代表会長、キリスト教大韓アッセンブリーズ・オブ・ゴッド総会長、社団法人グッド・ピープル理事長などの活動を行っている。チョー・ヨンギ牧師の牧会と霊性を継承、発展させながら、ペンテコステ聖霊運動と御言葉充満の調和、仕えることと分かち合うことの実践、世界宣教および教会連合運動などに力を注いでいる。
主な著書としては『The Holy Spirit Movement in Korea』『霊的成長の道』『小さきイエスの霊性1・2』『感謝の奇蹟』『信仰の奇蹟』(以上、全て韓国語版)、韓英対訳『十字架の恵み』など多数。訳書としては『ペンサコーラ、奇蹟の現場‐ブラウンズビル教会』『世界ペンテコステ・ホーリネス運動の歴史』などがある。