国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)がパリで開催される中で、牧師や司祭、信徒、修道女、主教(司教)、大司教(大主教)、そして枢機卿など、たくさんの国々からさまざまな信仰告白を持つ何百人もの人たちが、パリのノートルダム大聖堂で神の創られた世界のための礼拝に加わった。ジャーナリストで世界キリスト教コミュニケーション協会ヨーロッパ会長のスティーブン・ブラウン氏が4日、WCCの公式サイトで伝えた。
「被造世界のために積極的に関わることは、私たちの道義的な義務なのです」と、(正教の)全地総主教であるバルソロメオス1世が、3日のこの礼拝で会衆に読み上げられたメッセージの中で語った。「行動するには遅すぎはしませんが、私たちは、今日できることを明日まで延ばすことを自分たち自身に許してはなりません」
環境問題に対する自身の取り組みからしばしば「グリーンな総主教」と呼ばれるバルソロメオス1世は、この礼拝に自ら出席する予定とされていたが、しかし、同総主教の訪仏は延期された。代わりに、同総主教のメッセージはフランス正教会のエムマヌイル府主教によって読み上げられた。同府主教は、ローマ・カトリックのジョルジュ・ポンティエール・マルセイユ大司教やフランス・プロテスタント連盟(CECEF)のフランソワ・クラヴァイロリ議長とともに、この礼拝を企画したフランス・キリスト教会協議会の共同議長のうちの一人である。
バルソロメオス総主教は自身のメッセージの中で、生活様式の急激な変化に向けた回心を促すために、「エコロジカルな霊性」の発展を強く求めた。
このエキュメニカル礼拝は、老いも若きも、信徒たち、それからフランス内外の、白や黒、赤、紫の服装をした聖職者そして教会指導者たちの行列で始まった。
その中には、アンドレ・ヴァン・トロワ・パリ大司教、WCC総幹事のオラフ・フィクセ・トヴェイト牧師、聖書朗読をしたスウェーデン国教会主席大監督のアンティエ・ヤケレン大監督、そしてテゼ共同体の修道会会長であるブラザー・アロイス氏が含まれていた。
同大聖堂に会衆を歓迎したヴァン・トロワ枢機卿は、クリスチャンが「私たち共通の故郷の暮らしに対する応分の責任を引き受ける」必要性を強調した。
13世紀の大聖堂の壁に、礼拝者たちは「被造世界に寄せる歌」という、大きな壁掛けが国連会議を記念して展示されているのが見えた。音楽は、ノートルダムの常駐聖歌隊、ギリシャ正教会大聖堂聖歌隊、そしてマダガスカル・プロテスタント聖歌隊という三つの聖歌隊によって歌われた。
綿、亜麻布、銀器、陶器類、オリーブ油、楽器、折り紙の船といった、神の創られた世界を象徴する器物が礼拝の間に前の方へ持ち込まれた。
「被造世界が私たちに託された賜物であること、そして居住している地球全体のために私たちがみな未来の世代に対して責任を負っていることを、私たちは分かっています」と、フィリピン政府の元気候変動交渉担当者で運動家となったイェブ・サノ氏が述べ、最後の器物である地球儀がささげられると、礼拝者たちは起立した。
会衆を祈りへと招いたWCCのトヴェイト総幹事は、世界が直面している「真実の時」について語った。
礼拝の間に朗読されたメッセージの中で、CECEFは政治や経済の指導者たちに対し、「私たちの兄弟姉妹のうちで最も脆弱な人たちや未来の世代がさらに被害を受けることのないようにするために、温暖化を2度以下に制限するために必要な決定を行う」よう強く求めた。
式文には、最近の暴力の標的となっているフランスや他の国々の平和のための祈りが含まれていた。会衆がお互いに平和のあいさつをする前に、「私たちは共に平和のために責任を持って行動し祈ります」とCECEFのクラヴァイロリ共同議長は述べた。
この礼拝は、この国連会議に至るまでの月日の中で、気候変動と環境に関するCECEFの活動の頂点であった。礼拝式文はヨーロッパ中そして内外でも自分たちの祈りのために事前に共有されて用いられた。
■ 動画:3日にノートルダム大聖堂で行われたエキュメニカル礼拝