「わたしの牧者、わたしの望む事をみな成し遂げる」(イザヤ44:28)
私の心の片隅には、「諦める」という概念が潜んでいたような気がします。「諦めの宗教」といわれる精神的風土の中で育ったせいなのかもしれないと、自分勝手に解釈していました。しかし、ある和尚さんの次のような話を聞いて、ショックを受けました。「『あきらめ』とは、『諦める』ことではありません。『明らかにする』という意味があります。暗闇の中を手探りで歩いていたとき、一筋の光明が差し込みます。そうすると足元が見え、行く道が分かるようになります。これが『明らかにする』という『あきらめ』の境地なのです」
また、気持ちが落ち込んでいた時期に、アメリカの知人がフェイスブックに次のような言葉を投稿していました。自分なりに翻訳してみました。
Get your fire back, (再点火しなさい。)
It’s not over until God says it’s over. (神が「終わった」と言われるまで終わらない。)
Start believing again. (もう一度、信じることを始めなさい。)
Start dreaming again. (もう一度、夢見ることを始めなさい。)
Start pursuing what (神があなたの心に示されたことを)
God put in your heart. (成し遂げることを始めなさい。)
あるドクターは、日本で最初のホスピスを立ち上げるために、イギリスに留学していました。ホスピスは、設立の経費も運営費も一般の病室には比べられないほど高くなるから、日本では予算的に難しいかなと思い始めていたそうです。そうするとホスピス事業の創始者の女史が「いい仕事をすれば、お金は後からついてきます」と励まされたそうです。
私は、既存の伝道の概念にとらわれない新しい働きを始めたいと、開拓伝道にチャレンジしてみました。また、インドでは牧師が起業し、事業で得た資金を貧民街伝道に用いて成功していると聞き、自分も後に続きたいと思いました。ブライダルの働きで起業し、新規事業に取り組み、「花と音楽に包まれたキリスト教葬儀」で経営革新計画が認められ、県知事承認を頂くことができました。
しかし、ほとんどの方が認めておられるように、事業は安易なものではなく、次々に壁に直面し、何度も心が折れそうになります。神様は必ず助けてくれる人、力になってくださる人を備えていてくださり、青色吐息ではありますが、今日に至っています。私が親しくしている経営コンサルタントは、「経営者がもうだめだ、やっておれない」と思った時が倒産の時、「まだやれる、やりたい」という意志がある限り、続けられると話しています。
アメリカの知人の投稿はまだ続きますので、私なりの翻訳をしてみます。
Never give up, never lose hope, (決して諦めず、希望を失ってはいけません。)
Always have faith, it allows to cope. (常に信仰を持てば、何とかなります。)
Trying times will pass as they always do. (いつものように、試練の時は過ぎます。)
Just have patience, your dream come true. (忍耐していると、夢は実現します。)
Put a smile, you will live through your pain. (笑顔があると痛みの中、生きられます。)
Know this pass and strength you all gain. (あなたが入手できる道と力が示されます。)
決して諦めないのが信仰者の姿勢だと学びました。目の前に立ちはだかる山々がどんなに高くても、神様は乗り越える力を与えてくださいます。ただ、一人では難しさがあります。何でも話せる友人、祈って支えてくれる仲間が必要です。
「ですから、あなたがたの確信を投げ捨ててはなりません。それは大きな報いをもたらすものなのです」(ヘブル10:35)
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穂森幸一(ほもり・こういち)
1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。