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律法と福音

律法と福音(20)アメイジング・グレイス 山崎純二

2015年12月3日06時53分 コラムニスト : 山崎純二
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前回、動物の血では人を贖(あがな)うことはできないと聖書を確認しましたが、それではどのような方が血を流されれば人類の罪が赦(ゆる)されるのでしょうか。その方は二つの条件を満たさなくてはなりません。一つは人類以上に価値がある存在ということ、もう一つは何の罪もないということです。

結論から言うと、そのような条件にあてはまるのは、神の子キリストを置いて他にあり得ません。キリストの愛弟子であるペテロがこのように明言しています。

「ご承知のように、あなたがたが父祖伝来のむなしい生き方から贖い出されたのは、銀や金のような朽ちる物にはよらず、傷もなく汚れもない小羊のようなキリストの、尊い血によったのです」(Ⅰペテロ1:18、19)

律法と福音(20)アメイジング・グレイス 山崎純二

それこそが、世界中の教会が赤い十字架をそのシンボルとしているゆえんです。先週触れた『走れメロス』の話に戻りましょう。もしもメロスが自分の大切にしているロバを差し出して、「このロバを私の身代わりとしてください」と言っていたら、王様は納得したでしょうか。当然「NO」でしょう。なぜでしょうか。それは、誰かの身代わりになる者はその人と同価値以上の存在でなければならないからです。当然、人類を贖うのに動物の血では不十分なわけです。

では人の罪を贖うのに、キリストではなく他の人が身代わりになるというのはどうでしょうか。

そもそも私たちの罪を贖うために、命の身代わりになってくれるような友を探すのも困難でしょうが、たとえそのような友人がいたとしても、その人の命を持ってして私たちの罪の贖いをすることはできません。

それは、その人もまた、自分自身の罪を負っているからです。『走れメロス』の話で説明するとこうなります。例えば、友人のセリヌンティウスもメロス同様、王の逆鱗に触れて、死刑を言い渡されていた場合を考えてみましょう。その場合、この友人はメロスの身代わりとなる資格があるでしょうか。

この答えもやはり「NO」でしょう。

友人は友人で刑に定まっているのですから、これ以上誰かの身代わりになることはできないのです。同様に全人類は根源的に罪人ですので、ある人が他者の罪の身代わりとなることはできません。一切の罪がないという方でないと、贖うことはかなわないのです。

それを十分承知な神様は、私とあなたの罪を赦すために、ある計画を立ててくださいました。それこそが、罪も汚れもない神の子の命(血)を犠牲として、人類を贖うというものです。神様は愛なる方なので、人類が罪の中で傷つき滅んでいくのを見過ごしにはできませんでした。もちろん神様は全能者ですので、強制的に全人類の罪を赦す権力はありますが、同時に神は義なる方なので、人類の罪を何の犠牲も払わずに赦すことはできません。

そこで驚くべきことに、ご自身の独り子であるキリスト・イエスを人類に与えてくださったのです。このことは、歴史上の人物であるイエスが死んだ後に、彼を神格化し、その死に意味を付与したのでは決してありません。なぜなら、キリストがこの地に来られて、ご自身の命を人類に与えてくださるということは、彼が誕生する以前から旧約聖書にしっかりと明記されているからです。事後的に付記されたのではなく、キリスト生誕以前から記されているのです。例えばこのような有名な箇所があります。

「彼は主の前に若枝のように芽ばえ、砂漠の地から出る根のように育った。彼には、私たちが見とれるような姿もなく、輝きもなく、私たちが慕うような見ばえもない。彼はさげすまれ、人々からのけ者にされ、悲しみの人で病を知っていた。人が顔をそむけるほどさげすまれ、私たちも彼を尊ばなかった。まことに、彼は私たちの病を負い、私たちの痛みをになった。だが、私たちは思った。彼は罰せられ、神に打たれ、苦しめられたのだと。しかし、彼は、私たちのそむきの罪のために刺し通され、私たちの咎のために砕かれた。彼への懲らしめが私たちに平安をもたらし、彼の打ち傷によって、私たちはいやされた。私たちはみな、羊のようにさまよい、おのおの、自分かってな道に向かって行った。しかし、主は、私たちのすべての咎を彼に負わせた。彼は痛めつけられた。彼は苦しんだが、口を開かない。ほふり場に引かれて行く小羊のように、毛を刈る者の前で黙っている雌羊のように、彼は口を開かない。しいたげと、さばきによって、彼は取り去られた。彼の時代の者で、だれが思ったことだろう。彼がわたしの民のそむきの罪のために打たれ、生ける者の地から絶たれたことを」(イザヤ53:2~8)

イザヤはキリスト生誕700年前に神から啓示を受けて、実にリアルにキリストの姿を描写しています。もう1カ所、聖書を確認しておきましょう。詩篇22篇です。

「わが神、わが神。どうして、私をお見捨てになったのですか。遠く離れて私をお救いにならないのですか。私のうめきのことばにも」(詩編22:1)

「私を見る者はみな、私をあざけります。彼らは口をとがらせ、頭を振ります。『主に身を任せよ。彼が助け出したらよい。彼に救い出させよ。彼のお気に入りなのだから』」(詩編22:7~8)

「彼らは私に向かって、その口を開きました。引き裂き、ほえたける獅子のように。私は、水のように注ぎ出され、私の骨々はみな、はずれました。私の心は、ろうのようになり、私の内で溶けました。私の力は、土器のかけらのように、かわききり、私の舌は、上あごにくっついています。・・・私は、私の骨を、みな数えることができます。彼らは私をながめ、私を見ています。彼らは私の着物を互いに分け合い、私の一つの着物を、くじ引きにします」(詩編22:13~18)

もしも皆様がこの箇所と新約聖書のマタイ27章を読み比べてみていただけるなら、キリストが誕生するよりはるか前に書かれた詩篇が、キリストの十字架上の言葉、人々のあざけりの言葉や行動を実に詳細に預言していることに驚かれることでしょう。もちろん、詩篇22篇全体は、冒頭に「ダビデの賛歌」とありますように、当時のダビデ王が自身の苦しい心情を吐露したものなのですが、そのことが同時にメシヤ(キリスト)預言となっているのです。それはこじつけだと言われる方もいるかもしれませんが、これは誰かの「聖書解釈」などではなく、聖書自体が明言していることです(ヨハネ19:24)。

この一事により、私たちは「聖書」が歴史を超越される全能者から与えられた霊感によって書かれていることを感じることができ(Ⅱテモテ3:16)、キリストの十字架での贖いがはるか昔からの神様のご計画であることを知るのです。私自身もこのような聖書箇所をはじめて読んだ時に、何とも言えない不思議な感覚に全身が包まれました。

私たちのような小さく罪にまみれた存在のために、罪も汚れもない神の子キリストが血(命)の犠牲を払ってくださったのです。彼は、「私たちのそむきの罪のために刺し通され、私たちの咎のために砕かれた」のであり、そしてそのことは、キリスト誕生以前に神が定めておられたことなのです。主は「私たちのすべての咎を彼に負わせた」のです。神がそれほどまでに私たちを愛してくださっているのです。「神が全人類を愛された」というと少し意味がぼけるかもしれませんが、もしも人類があなた一人しかいないとしても、神は同じことをされたでしょうし、キリストも十字架への道を厭(いと)われなかったでしょう。だからこそ「福音」は驚きの恵みであり、ゴスペルシンガーたちは涙を流しながら「アメイジング・グレイス(驚くべき恵み)」と歌うのです。

【まとめ】

  • 人類の罪を贖う存在は、人類以上の存在でなければならない。
  • 人類の罪を贖う存在は、罪のない存在でなければならない。
  • 罪がなく、人類以上の存在であり、人類を贖い得る存在はキリスト以外にはいない。
  • キリストが人類を贖うために犠牲になることは、旧約聖書にあらかじめ預言されていた神のご計画。
  • このことにより、私たちは聖書を信頼し、神の驚くべき恵みとキリストの愛に触れる。

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◇

山崎純二

山崎純二

(やまざき・じゅんじ)

1978年横浜生まれ。東洋大学経済学部卒業、成均館大学語学堂(ソウル)上級修了、JTJ宣教神学校卒業、Nyack collage-ATS M.div(NY)休学中。米国ではクイーンズ栄光教会に伝道師として従事。その他、自身のブログや書籍、各種メディアを通して不動産関連情報、韓国語関連情報、キリスト教関連情報を提供。著作『二十代、派遣社員、マイホーム4件買いました』(パル出版)、『ルツ記 聖書の中のシンデレラストーリー(Kindle版)』(トライリンガル出版)他。本名、山崎順。ツイッターでも情報を発信している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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