山梨県大月市の中央自動車道上り線の笹子トンネル内で、天井板が約140メートルにわたって落下した事故から2日で丸3年が経過した。事故が起こった2日午前8時3分には、現場を訪れた遺族や中日本高速道路(NEXCO中日本)の関係者ら黙とうをささげた。多数の国内メディアが伝えた。
この事故では、コンクリート製の天井板が約140メートルにわたって落下し、自動車3台が下敷きとなった。またうち2台で火災も発生し、男女9人が死亡、2人が重軽傷を負った。日本の高速道路における事故としては、最も多くの死者を出した過去最悪の事故となった。
2013年に発表された国土交通省の事故調査・検討委員会の報告書によると、天井板に打設された接着系ボルトの一部に、トンネル建設当初から十分な強度がないものが含まれており、経年の荷重や劣化でさらに強度が低下したことで、連結された天井板が次々に落下したと推定される。
一方、12年間にわたり原因と考えられるボトルに対し、目視や打音による点検が行われていなかったことや、膨大な数の補修補強履歴の保存体制に不備があったことなどを挙げ、「中日本高速の笹子トンネル天井板に対する事故前の点検内容や維持管理体制は不十分であったと言わざるを得ない」と指摘している。
2日には山梨県都留市でも追悼慰霊式が行われ、中日本高速道路の宮池克人社長はあらためて謝罪し、「二度とこのような事故を起こしてはならず、高速道路の安全に向けて取り組みを進める決意を新たにした」(NHK)などと語った。
この事故をめぐっては、山梨県警が業務上過失致死容疑で捜査を行っており、遺族の一部は中日本高速道路などに計9億円以上の損害賠償を求める裁判を起こしている。