通常よりも頭が小さく知能の発達遅延などを起こす小頭症の新生児が、ブラジルで急増しているという。ブラジルの保健省は最近、蚊が媒介するジカウイルスと小頭症の関連が世界で初めて確認されたと発表した。時事通信やAFP通信が伝えた。
AFP通信が保健省の統計として伝えたところによると、ブラジルでは昨年、小頭症の症例が147件だったが、今年は約8・5倍の1248件に急増した。時事通信によると、最も多いペルナンブコ州では前年比75倍の646人が小頭症の疑いがあると診断されたという。
ジカウイルスの感染を予防するワクチンや、効果のある治療法は今のところないとされている。保健省は、妊娠3カ月以内に蚊に刺されてジカウイルスに感染すると、胎児に小頭症が発症するリスクが高まるとしている。
日本の厚生労働省検疫所のホームページによると、ジカウイルスは1947年、アフリカ東部ウガンダのジカの森で発見された。デング熱、日本脳炎、ウエストナイル脳炎といったウイルスに近いもので、蚊が媒介することで都会でも田園地帯でも感染する。3〜12日の潜伏期間の後、急性の発熱、非化膿性の結膜炎、頭痛、筋痛、関節痛、脱力、斑点状丘疹、下部肋骨水腫などの症状が4〜7日続き、ジカウイルスの感染症自体は自然に治るという。
2007年にミクロネシアのヤップ島、13年にフランス領ポリネシアで流行し、14年にはニューカレドニアとクック諸島などでも患者の報告があったが、これまでのところ感染症による死者は出ていないという。
一方、時事通信によると、ブラジルのセアラ州では、小頭症の乳児が死亡する事例も確認されたという。