筋肉低下により飲食などが困難になる難病「先天性ミオパチー」だった長女(当時3)を、十分な食事を与えずに衰弱死させたとして、保護責任者遺棄致死の罪に問われていた母親(20)=当時19=の判決が30日、大阪地裁であり、母親に無罪が言い渡された。NHKなどが伝えた。
母親と長女の義父となる夫(23)は昨年6月、大阪府茨木市の自宅アパートで、十分な食事を与えず、長女を衰弱死させたとして殺人容疑で逮捕された。その後、殺意の立証が難しいことなどから、保護責任者遺棄致死の罪で起訴された。
報道によると、検察側は、長女の体重が死亡するまでの8カ月間に3キロも減っており、親族も長女の体重が減っていたことに気付いていたと指摘。母親は何らかの対処をする必要があると認識していたが、それをしなかったなどと主張した。
一方、弁護側は、長女が病気のため何も食べないような日もあったが、母親はほぼ毎日食事を作って長女に与えようとしていたと主張。体重についても共に生活する中で気付けなくても不自然ではないとし、先天性ミオパチーの影響による呼吸不全などで死んだ可能性があるなどと述べていた。
判決では、長女の死因が十分な栄養を取れなかったことによる衰弱死と考えられるとする一方、「長女が十分な栄養を与えられていないと認識していたとまでは言えない」(NHK)とし、母親に無罪を言い渡した。同じ罪で起訴されている夫の裁判は今後開かれる予定だという。
先天性ミオパチーは、骨格筋の先天的な構造異常により、新生児期や乳児期から、筋力・筋緊張低下を示し、呼吸障害や心合併症、関節拘縮、側弯、発育・発達の遅れなどが生じる疾患群。原因は遺伝子の異常だとされている。