ピュー・リサーチ・センターが行った、米国人の宗教との関係をめぐるさまざまな質問を分析する包括的な研究から、成人は圧倒的に神を信じているが、その支持は減っていることが明らかになった。
この調査からは、米国人クリスチャンの多くが現在では同性愛を支持しているが、中絶は同性愛に比べて支持の割合が低いことも明らかになった。
3万5千人の成人の米国人を対象に行われた2014年度の宗教情勢調査(Religious Landscape Study)の分析では、全ての米国の成人人口のうち89%が神を信じていると回答した。この数字は2007年の92%から下がっている。
宗教生活でのほかの観点からも分析がなされており、成人の55%が毎日祈っていると答え、53%が宗教は非常に重要だと答え、50%が少なくとも月に1回は礼拝に出席していると答えたが、すべての数字は2007年の調査より下落した。
無宗教と答えた成人の割合は16%から23%に上昇したが、その中には多様な考え方が含まれている。無宗教と回答した中の61%が神を信じていると回答したが、少なくとも月1回以上礼拝に出席していると答えたのは9%に過ぎなかった。
一方、宗教を持っていると回答した者は宗教的な行動をする傾向が強く、97%が神への信仰を表明し、62%が少なくとも月1回は礼拝に出席している。
ここ数年間で行われた国の調査では、米国内で無宗教の成人の数が増えていることが明らかになっている。3月に結果が公表された全国世論調査センター(NORC)とシカゴ大学による2014年度の総合的社会調査(GSS)では、米国人の21%が無宗教であるという結果が出た。
6月4日から9月30日にかけて行われた2014年度の宗教情勢調査では、米国人クリスチャンの同性愛に代表される社会問題への姿勢は変化し続けていることが明らかになった。
ローマ・カトリック、主流派、正教会、黒人教会では、それぞれの信者の50%以上が同性愛は社会に受け入れられるべきだと答えた。しかしプロテスタントの福音派では36%、モルモン教では36%、エホバの証人では16%しか同性愛に賛同しなかった。
全体的に見ると、キリスト教徒の54%が同性愛は社会に受け入れられるべきだと回答した。この割合は、2007年に比べて10ポイント上昇している。
「同性愛に対する態度の変化は、米国内で宗教的アイデンティティーと実践の在り方を変えている世代間の変化とリンクしています。ミレニアルズ世代は、より上の年代よりもはるかに同性愛に対して受容的です」と報告書は述べている。
「例えば、プロテスタント福音派と名乗るミレニアルズ世代のちょうど半分が、今では同性愛が社会に受け入れられるべきだと述べています」
キリスト教の教派のほとんどが中絶に反対する姿勢を維持しているが、特に福音派とモルモン教は最も強く反対している。
支持政党においても、着目すべき差が見られた。2014年度において、共和党支持者の82%がキリスト教徒と称しているが、民主党支持者では63%に過ぎない。一方、共和党支持者の14%が無宗教と回答したが、民主党支持者ではその数が2倍の28%となっている。
民主党支持者では、自らを特に無神論者だとする成人がより多く、共和党支持者のわずか1%に対して5%に上る。