世界福音同盟(WEA)は、欧州と中東で現在起きている難民危機に関する特別委員会を設置した。WEAが27日、公式サイトで発表した。この特別委員会は、世界的なレベルから草の根のレベルに至るまでの対応の調整を支援することに焦点を絞り、難民のニーズに奉仕するさまざまな福音同盟や機関、教会同士の協働を強化し、その一方で最も脆弱なコミュニティーの保護に関して鍵となる諸問題に取り組むという。
WEA市民参加局長のクリスティン・マクミラン理事の指導の下、この特別委員会には、WEA難民・避難民・国家なき人々のための大使、WEA信教の自由委員会部長、米ニューヨークとスイス・ジュネーブにいるWEA国連チーム、各国と各地域の福音同盟の指導者たち、そして増えつつある協力団体が含まれている。
「ここ数カ月、私たちは紛争や迫害を逃れる膨大な数の人々を助けるために、各国政府が適切な対応を見出すのに苦闘しているのを目の当たりにしてきた。私たちは、特定のコミュニティーが援助や難民の再定住メカニズムからどのように除外されてきたのかを目の当たりにしてきた。私たちは信仰によって、祈りと助けるための具体的な行動のうちに応え、声が聞こえない人たちの声として、声を大にするよう招かれている」
WEAのエフライム・テンデロ総主事はこのように語るとともに、「この特別委員会の設置によって、私たちは後援者たちの間におけるさまざまな現在進行中の取り組みに刺激を与え、私たちの共同的な対応を強化することができるだろう」と付け加えた。
一方、マクミラン理事は、「私たちは、安全のために祖国を逃れ難民となる市民を生み出す暴力を忌み嫌う。そして、これらの脆弱な男女と子どもを迎え入れ奉仕することが極めて重要な一方で、それは問題の根源に取り組むことにはならない。従って、難民危機に対するWEAの手法には、現在進行中の和平交渉が含まれる」と語った。
この特別委員会は次の5つの点に焦点を当てる。
- 国・地域レベルで、また地元の教会や機関を通じて、現場の難民に耳を傾け関与する。
- 難民を迎え入れて気遣うよう、世界中の国々に訴える。とりわけ、キリスト教徒のように、最も被害を受けて疎外された宗教的少数者を優先する。
- 国連で難民の人権を訴えることにおいて、WEAや福音派の協力者たちの関与を支援し調整する。
- 疎外された宗教的少数者たちの状態や、難民の信教の自由の問題、そして消滅の危険にさらされている脆弱なコミュニティー、とりわけヤジディ教徒やキリスト教徒の安全と福祉について意識を高める。
- 資源の配分や地域教会のための講習会の開催を支援し、草の根で難民に対応し関わる。
WEAは、聖書には難民の話が多くあり、クリスチャンには寄留者を気遣う明確な義務が与えられているとしている。
「旧約聖書で神は、『あなたたちのもとに寄留する者をあなたたちのうちの土地に生まれた者同様に扱い、自分自身のように愛しなさい』(レビ19:34)と述べている。そして新約聖書でイエスは、小さい者を気遣う者たちは幸いであり、『お前たちは、わたしが飢えていたときに食べさせ、のどが渇いていたときに飲ませ、旅をしていたときに宿を貸し、裸のときに着せ、病気のときに見舞い、牢(ろう)にいたときに訪ねてくれたからだ』(マタイ25:35)と述べている」
WEAによると、既に福音派はいわゆる「難民ハイウェイ」の各地で支援に参与している。地域教会は、中東や南欧州で疎外された難民に奉仕し、彼らを受け入れている。難民援助団体は難民キャンプの内外で彼らのニーズに奉仕している。欧州中の通過国や目的地の国で、福音派のクリスチャンたちは難民の身体的、感情的、そして霊的に必要なものを提供し、自宅で難民を迎え入れて滞在させ、住まわせることさえしているという。
マクミラン理事は、「この難民危機は私たちが神を頼りにしていることや、祈りの必要性を思い起こさせる。従って、私たちは紛争の平和的かつ永続的な解決のために、各国政府が進んで難民の直近かつ長期的なニーズに真剣に取り組むように、そして新たな大量虐殺が始まるのを見て、保護と介入を求めて叫んでいる、中東で最も脆弱なヤジディ教徒やキリスト教徒のコミュニティーのために祈るよう、世界中の信仰者たちに呼び掛ける」と語った。