ロシア・モスクワの「赤の広場」近くにある展示会場「マネージ」で開かれた旧ソ連前衛作家の彫刻展「Sculptures We Don't See」に、正教会系の活動家グループが8月14日、中止を求め乱入し、警察に拘束される事件があった。時事通信などが報じた。
乱入したのは、「God's Will」(神の意志)という活動家グループ。 この彫刻展には、旧ソ連時代の有名な前衛彫刻家バジム・シドール(1924〜86)の作品が展示されていた。このグループは、イエス・キリストを下品に表現し、信者の心情を侮辱したと主張し、会場を荒らしたという。
事件後も彫刻展は引き続き開催されたが、活動家グループのリーダーはツイッターで「神に対するひどい冒とくは打ち負かされた」と発信し、「私たちは彫刻展の中止を求める」と訴えた。警察に拘束されたメンバーはすぐに全員釈放されたが、このことについても、「神に感謝すべきことに、全員が自由になった。私たちに責任は問われないだろう」と語った。また、グループの誰一人として一つの彫刻も傷つけておらず、問題があるとすれば、プレートと床を傷つけたことである主張している。
一方で、彫刻展主催者は、ロシアのインタファクス通信の取材に応じ、「被害を受けた4枚の版画を警察が証拠として持って行った」としており、全体の被害総額については査定を進めている段階だという。
グループは、今回の事件を起こした理由について、「『国家は私たちにとっての聖なるものを守ってくれない』という私たちの叫びに、誰一人として耳をかさないから行動を起こした。何かを変えるためには、人々の注目を集める行動を起こさなければならない」と話している。