ナイジェリア・ブレザレン教団の代表が、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」がこれまでに同教団の所属教会の7割近くを破壊し、教会員8千人を殺害したと語った。
ナイジェリアのニュースサイト「Naij.com」によると、「アダマワ、ヨベ、ボルノの各州で、私たちの教会の70%が破壊され、教会員8千人以上が殺害されました。チボクで誘拐された少女たちのうち176人は私たちのメンバーです」と、同教団代表のサミュエル・ダリ牧師は語った。
ダリ牧師は、2009年から政府やキリスト教徒を襲撃しているボコ・ハラムに対し、ナイジェリア軍が最終的には勝てるという希望を持ってはいるが、さまざまな襲撃によりアダマワ、ヨベ、ボルノの各州では多くの教会が破壊されたと述べた。そして、教会の破壊と教会員の虐殺が広範囲に起きたことで、同教団の牧師のほとんどが職を失っているとも語った。
ボコ・ハラムの戦闘員は、ナイジェリアの北東部の街でナイジェリア軍と戦闘を行っており、襲撃した村々で数十人から数百人を虐殺し、女性や子どもを誘拐するという恐ろしいテロ行為を続けている。先週には、ナイジェリア北東部ヨベ州のククワガリ村で、少なくとも150人を虐殺した。
「戦闘員たちはすぐ発砲し、住民は逃げざるを得なくなりました。彼らは多くの人に発砲しました。不幸にも、逃げようとした多くの住民が雨で増水した川に飛び込みました。多くの人が溺死しました」と、村の住民であるモドゥ・バルミさんはAFP通信の取材に対し語った。
「最新の情報によると、襲撃で射殺された人や溺死した人は150人に上ります。銃を持った戦闘員が、溺れている村の住民を助けようとした漁師さえも殺しました」とバルミさんは語った。
ナイジェリアの人々は、「イスラム国」(IS)に忠誠を誓うこのテロ組織を、すぐにでも打倒するというムハンマド・ブハリ大統領の公約に希望を置いている。
ブハリ大統領は、ボコ・ハラムの打倒の期限を12月に設定している。
ナイジェリアのニュースサイト「Naija 247 News」によると、大統領広報担当のフェミ・アデシナ氏は、「ボコ・ハラムの反乱の終わりは迫っています。大統領は公約通り達成するために尽力しています」と語った。
アデシナ氏は、「大統領は、ボコ・ハラムの制圧の期限を今年12月に前倒ししました。大統領は当初、ボコ・ハラムを18カ月以内に制圧すると公約しましたが、現在ではその期限を今年12月に前倒ししました。彼は最高指揮官であり、全体を見る、より広い視野を持っています」と強調した。
バラク・オバマ米大統領は7月、ブハリ大統領をホワイトハウスに招き、この使命達成を支援するためナイジェリア軍に500万ドル(約6億円)を支援することを約束した。オバマ大統領はブハリ大統領の誠実さを称賛し、「ナイジェリア国内のボコ・ハラムや他の全ての同様の存在を制圧する非常に明らかな計画」を持っていると述べた。
世界キリスト教連帯(CSW)をはじめとする迫害監視団体は、彼らが「死のカルト」と呼ぶボコ・ハラムの行いをやめさせるために、さらなる行動を世界の指導者たちに呼び掛けている。
CSWは7月、「宗教の皮をかぶって声明を出してはいるものの、ボコ・ハラムの全ての悪行は、ボコ・ハラムが構成員に対し、犠牲者の信条にかかわらず、良心を持つことなく殺せるよう刷り込む死のカルトでしかないことを示しています」とする声明を出している。