【CJC=東京】人道援助活動のために北朝鮮を訪問中で1月に身柄を拘束された韓国系カナダ人のイム・ヒョンス牧師(60)が7月30日、平壌の人民文化宮殿で記者会見した。会見には北朝鮮メディアの他、中国など現地駐在メディアの記者も出席した。イム牧師が公の場に姿を現すのは拘束後初めて。
記者会見の席でイム牧師は、北朝鮮の体制転覆を狙った活動を行っていたこと、2月にエボラ出血熱の侵入防止措置に違反して「違法に」平壌に入ったことを告白したという。
イム牧師は1月30日に中国経由で北朝鮮入りした。同牧師は、カナダ・オンタリオ州ミッシサウガのライト・コリアン長老教会を主管している。信徒は約3千人という。
同教会は北朝鮮北東部の羅津で孤児院や保育所、老人介護施設などを運営しており、ライザ・パク報道担当は、イム牧師の渡航は「定期的なもの」だったと述べている。
パク報道担当は7月30日、CNNに寄せた声明で「イム牧師に対する罪状や容疑についてコメントはない。ただ、イム牧師自身が開始し、支えてきた北朝鮮における人道援助活動は、人々の暮らしを向上させるためだった」と指摘した。
パク担当はまた「イム牧師が100回以上も渡航する動機になったのは、北朝鮮の人々への大きな愛だった」と主張している。
イム牧師は記者会見で「援助の名目で北朝鮮各地を訪ねた目的は、政府転覆に向けた基礎を築き、米韓両政府の政策に利するような宗教国家を作るためだった」と述べたという。
牧師は8月2日、平壌の鳳岫(ポンス)教会で礼拝に参加した。牧師は、参加者らの前で「懺悔するためこの場に立った」と“反省”の弁を述べた。
カナダ外務省は「問題解決に努力しているが、新たな情報を得てはいない」と、牧師の釈放については確認していない。
イム牧師は夫人と共に韓国から1986年にカナダへ移住した。