キリスト教徒への迫害を監視する団体が7日に明らかにしたところによると、昨年のキリスト教徒へ対する迫害の件数がソ連崩壊以来最大となった。
迫害監視団体の米オープン・ドアーズは、この24年間の世界的な迫害の件数を追跡する中で、2014年がキリスト教徒への迫害が最も暴力的に行われた年であり、その前年までよりはるかに悪いことを強調した。
「最も恐ろしいことは恐らく、2014年をキリスト教徒への迫害が暴力的に行われた年にした全ての要因、全ての問題が、今もなお続いているということでしょう」と米オープン・ドアーズの会長兼最高責任者(CEO)のデイビッド・カリー氏は記者会見で語った。「前年度中には、4344人がイエス・キリストへの信仰を理由に処刑、または殺害されたことを確認しました。その前の2倍以上の件数です」
クリスチャンポストとのインタビューでカリー氏は、国家的な迫害とテロリストによる迫害の両方に共通する点は「イデオロギー」だと説明した。「エリトリアのように、一部の国では政府そのものが国粋主義運動のイデオロギーを取り入れているという兆候があります」とカリー氏。「しかし、国家的なものでなくても、テロリストにより支配されている一部の地域で迫害が起こっていることもよく見られます。つまり、共通点はイデオロギーなのです」と語った。
カリー氏は、オープン・ドアーズが毎年発表する世界で最もキリスト教徒に敵対している50カ国のランキングを示す「ワールド・ウォッチ・リスト」の発表とともに意見を述べた。このランキングは、国家的なものと、民衆によるものの両面において行われたキリスト教徒に対する不寛容な行いについて、裏付けされた報告に基づいている。
今回発表されたリストのワースト1位は北朝鮮で、13年間連続となり、キリスト教徒への迫害が最も激しい国家というレッテルを貼られた。北朝鮮に続き、ワースト10位に入ったのは、順にソマリア、イラク、シリア、アフガニスタン、スーダン、イラン、パキスタン、エリトリア、ナイジェリアだった。50カ国のうち、メキシコとコロンビアを除く48カ国は、全てアフリカ、アジア、またはインド洋地域にある。「これは現代において、キリスト教徒への迫害が最も激しく急増したことを示しています。私たちが追跡をしている期間については確実です」とキャリー氏は言う。
キャリー氏の発言に併せて、記者会見ではハドソン研究所の主席研究員で宗教の自由センター代表のニーナ・シア氏、そしてイスラム過激派「ボコ・ハラム」により夫を殺害された女性であり母であるダマリス・アトセンさんの発言もあった。
シア氏は、現代のキリスト教徒への迫害について、3つの主な動機を指摘した。ソビエト連邦崩壊後の共産主義国、国粋主義的イデオロギー、そしてイスラム原理主義のいずれかが、ワールド・ウォッチ・リストのワースト50カ国のほとんどで見られるという。
オープン・ドアーズの今年のランキングに大きな影響を与えたのが、中東におけるISIS(イラク・シリア・イスラム国)またはイスラム国と呼ばれる勢力の活動だ。
イスラム国は、サウジアラビアやエジプトなどのイスラム教の指導者から糾弾されている。しかしシア氏は、これらの国の厳格なイスラム教のイデオロギーが、イスラム国の形成に寄与していると考えている。シア氏はその意見の中で、サウジアラビア王国政府のような国家が、数十年にわたって、中東の学校でイスラム法の厳格な解釈を教えてきたと言及。クリスチャンポストとのインタビューでシア氏は、イスラム国はアルカイダの分派である一方、究極的にはサウジアラビアのその地域におけるイデオロギーの喧伝がイスラム国の創立に寄与していると説明した。
「サウジアラビアの行動は、非常に逆効果です。憎悪のイデオロギーに寄付を与え、助長し、押し広めているのです」とシア氏。「サウジアラビアは確かに、自身の怪物を作ったのです。今に至ってはこのムーブメントに対し非常におびえ、シリアとイラクにおいて空爆を行っているからです」と語った。
オープン・ドアーズの今回の発表では他に、ワールド・ウォッチ・リストに挙がる国のほとんどがアフリカ地域にあること、イスラム原理主義がワースト50カ国のうち40カ国で迫害の主な原因となっていること、そしてキリスト教徒に対して最も激しい暴力が行われているのはナイジェリア、シリア、イラクであるということなどが明らかになった。