世界で最も多くの人々に読まれている本『聖書』。その中でも最も広く知られたイエス・キリストの数奇な生涯を描いた映画『サン・オブ・ゴッド(原題:Son of God)』(2015年1月日本公開)が8月5日、DVD・ブルーレイになって発売される。
本作は、米国のヒストリーチャンネルで2013年に放送され、大反響を巻き起こしたドラマ「ザ・バイブル(The Bible)」(全10話)をもとに、同ドラマの製作総指揮を務めたマーク・バーネットと妻のローマ・ダウニーが、イエスの生涯にフォーカスを絞って再製作した映画。イエス役を演じた主演のポルトガル人俳優ディオゴ・モルガドは、映画史上最も端正な顔立ちのイエスとして、「イケメン過ぎる」と話題を集めた。ローマ・ダウニーは、「このドラマと映画をあらゆる人に見てほしい」と語る。
物語は十二使徒最後の生き残り、ヨハネの回想として始まる。「初めに言(ことば)があった。言は神と共にあった。言は神であった」と、ヨハネによる福音書1章の冒頭から始まり、「イスラエルの王」と預言されたイエスの誕生、弟子のペトロやマタイとの出会い、ラザロの復活やファリサイ派との論争など、聖書の有名なエピソードを織り込みながらイエスの通った軌跡をたどる。
その過程で、現代と変わらない当時の社会的な問題も徐々に浮き彫りになっていく。戦争、強者による弱者からの搾取、暴力、病気、金銭問題、さまざまな差別、離婚や浮気の問題に宗教や習慣の違い。それらに対して当時から人は皆、解決策を求め、預言された「王である救世主」の登場を待ち望んでいた――。
DVD・ブルーレイでは、映画本編の他に、製作者へのインタビューや、実際に聖書を信じるクリスチャンが世界中でどんな行動を起こしているのかを紹介する特典映像を収録したディスクも付いてくる。また、日本ではドラマ版はDVD・ブルーレイとしても発売されていないため、「ザ・バイブル」シリーズ初のDVD・ブルーレイ製品となる。
本作の特徴は、人間の内面の洞察と人間関係の機微に焦点を当てたドラマ作りが挙げられる。教会員数5万人を超える米最大の教会、レイクウッド教会(テキサス州)のジョエル・オスティーン牧師は「本作の特徴は、友好的で温かさを持ったイエスをリアルに描いたことだ」と称賛。物語終盤でイエスを裏切るイスカリオテのユダ役を演じたジョー・ウレッテンも、「登場人物の人間性や友情に焦点が当てられている。そういう意味で過去の聖書の映像作品と一味違う」と評価している。
また、後に初代教会のリーダーとなる元漁師のペトロを演じたダーウィン・ショウは、撮影が聖書に描かれたエピソードと同じ順番で行われたため、「僕たちはどんどん絆(きずな)を築いて、彼(イエス)と共に旅をしているようでした」と振り返る。
イエスを演じたディオゴ・モルガドは、製作者のローマ・ダウニー自身がイエスの母マリアを演じたことについて、「彼女が(二重の意味で)母親だからイエスとの絆を表現できた」と語った。
サドルバック教会(カリフォルニア州)のリック・ウォレン牧師は、自身が10万人の前で行った礼拝のエピソードを紹介。「教会の名前を聞いても、それぞれが違う教会名を言うので何を言っているか分からなかったが、『救世主の名前は?』と聞くと、全員が『ジーザス(イエスの英語表記)』と答えた。そのように彼の名前は教義や理論を超えて人々を一つにできる。彼をちゃんと知れば、誰もが彼を愛さずにはいられないだろう」と語った。
旧約聖書で預言されていたことが一つ一つ実現し、イエスが天に帰って数十年後、唯一生き残って、年老いたヨハネが語るシーンで物語は終わる。そのシーンも、ヨハネがため息を吐いた直後に、「私はアルファ(始まり)であり、オメガ(終わり)である」という、新約聖書の最終書巻、ヨハネの黙示録に記されている声を聞いて振り返る場面で本作は終わる。
ドラマ「ザ・バイブル」は、初回放送の視聴者数が1310万人と、米ケーブルテレビ局のドラマ史上最高を記録した話題作。その映画版である本作も、全米公開3日で2650万ドル(約31億4千万円)の興行収入を記録。日本では、教会関係者の満足度97%の高評価を得た。是非、家庭や教会などで堪能してもらいたい。
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