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【映画レビュー】『リメイニング』―携挙されるか、取り残されるか 「残された時間は少ない、決断しなくては」

2015年5月28日13時29分
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関連タグ:リメイニング(映画)レフト・ビハインド(映画)終末論
【映画レビュー】『リメイニング』―携挙されるか、取り残されるか 「残された時間は少ない、決断しなくては」+
© 2014 Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc. All Rights Reserved.

聖書に記される世界の終末を映像化した映画が、同時期に2作品、日本で公開されるというのは単なる偶然だろうか。来月に公開を控える、映画『レフト・ビハインド』は、全米でシリーズ累計6500万部以上の売り上げを記録している同名小説を原作にしており、過去にも映像化されていることから、日本のクリスチャンにも既によく知られた作品であろう。一方で、今月公開された映画『リメイニング』は、『レフト・ビハインド』と似通った設定で、本格的なパニックスリラー映画に仕上げた作品だ。

「ヨハネの黙示録に記されたこの世界の終末にまつわる預言が、現代社会で実現したら」という設定の下で、「携挙」と呼ばれる出来事が起きるのがこの2作品の共通したテーマとなっている。聖書には、世界の終末に「大患難時代」と呼ばれる極めて困難な時代がやってくることが預言されている。聖書学者や神学者、教派によって終末に関する議論の詳細は諸説に分かれるが、この2作品では、大患難時代に入るターニングポイントとして、「携挙」が起きることが示されている。携挙は、クリスチャンが一挙に空中に引き上げられて、再臨の主イエス・キリストと会うことを指す。

携挙が起こった後の世界、大患難時代へのカウントダウンが始まった世界に「取り残された」人々の姿が描かれる両作品だが、『リメイニング』はヨハネの黙示録8~9章の描写を鮮やかに取り入れることによって、観客に強い恐怖感を抱かせる。

【レビュー】映画『リメイニング』―携挙されるか、取り残されるか 「残された時間は少ない、決断しなくては」
© 2014 Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc. All Rights Reserved.

物語の始まりからして、パニックスリラー映画らしい緊張感に満ちている。結婚式という喜ばしい日が、列席者の多くが一斉に地面に倒れることで一気に暗転。しかも、倒れた人々の灰色でうつろな目が、画面いっぱいに映し出される。耐性のない人が見たら、それだけで反射的に体が動いてしまうような演出だ。

倒れた人々は携挙したわけだが、真実を知らない人々は、「突然死が起こった」と混乱状態に陥る。飛行機が墜落し、道路には車があふれる。さらには、異常な自然現象が立て続けに発生。雷、さまざまな音、稲妻、地震が起こり、巨大な雹(ひょう)と火が起こる。しかしそれだけではなく、この作品の特徴ともいえる「いなご」が登場することで、いよいよパニックスリラー映画としての本気の様相を見せる。

いなごは、ヨハネの黙示録によれば、「馬に似て、顔は人間のよう、髪は女の髪のよう、歯は獅子の歯のよう」な姿をしており、「戦車の響きのよう」な羽音を立て、「さそりのような尾と針」で人に害を加える力を持っている生き物だという。世界中にあふれる死体、異常な自然現象、突然闇の中から襲い掛かってくるえたいの知れない生き物。非現実的な描写が多いが、POVというカメラの視点を登場人物の視線に一致させたカメラワークで撮影されており、観客の視覚、聴覚にリアリティーのある緊張と恐怖を与える。

だが、さまざまな困難の中で、少しずつ真実が明らかにされていくとき、人々はその事実を知らされることこそが本当の恐怖であることに、はたと気付く。しかもそれは、「クリスチャン」たちだけが感じる静かな恐怖なのだ。巨大な雹が降るのを見て、それが聖書に書かれていたと思い出す主人公の花嫁は、「教会に行って正しいことをしたのに」と、聖書を抱えてつぶやく。逃げ込んだ先の教会では、家族の中で一人だけ生き残った牧師が人々を受け入れていた。何が起きているのか、全てを悟った牧師は、「教会や称号が本当の信仰とは限らない。自分は、(神や人との)結び付きを持たず、自分の慰めを得ていただけ」と、自分だけが残された理由を静かに語る。

【レビュー】映画『リメイニング』―携挙されるか、取り残されるか 「残された時間は少ない、決断しなくては」
© 2014 Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc. All Rights Reserved.

突然死んだと思っている人たちは、新しい命を受けているということ、自分たちが生き残ったのではなく、取り残されたのだということを知らされる主人公たち。彼らはそれまで少なからず聖書に触れ、教会に行き、自分は「信仰」を持っていると思っていた。だが、それが本当の信仰ではなかったから、取り残されたのだということに気付いていく。その事実を、素直に受け入れる者、直視しようとしない者、反応はそれぞれだが、事態が切迫していく中で、一人ひとりが最終的な決断をしなければならない時がやってくる。

大患難時代に預言されるあらゆる災いが88分の中に凝縮されているため、聖書に忠実だといえない部分も多く見受けられるが、製作・脚本も手掛けたケイシー・ラ・スカラ監督が伝えたいメッセージは極めて単純だ。彼は「あなたと周りの人、あなたと神との関係を再確認してほしい」と、英クリスチャントゥディに語っている。スカラは「それがいつ起こるのか私たちには分からない」と言うが、思いがけない日の思わぬ時間に、イエス・キリストが信仰ある者たちを迎えに再臨されたとしても、取り残されたことに気付いて嘆くことのないように、「残された時間は少ない、決断しなくては」と、この映画を通して呼び掛けている。その呼び掛けは、「クリスチャン」である私たちに向けられているのだ。

映画『リメイニング』は、16日から新宿シネマカリテほか、全国で公開されている。

■ 映画『リメイニング』公式サイト

関連タグ:リメイニング(映画)レフト・ビハインド(映画)終末論
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