キリスト教の宣教団体「オペレーション・モビリゼーション」(OM)で働き、中東のイスラム教圏に長年住んでいる宣教師ジュリアンさん(仮名)は2日、キリスト教迫害監視団体「殉教者の声」(VOM)のラジオ番組で、キリストへの信仰に導かれている過激派組織「イスラム国」(IS)のメンバーをはじめとする中東地域のイスラム教徒について語った。
「神はその全能の力によって、悪者や悪をたくらむ敵を良い存在に変えることができます」とジュリアンさん。VOMのラジオ番組では、エジプトで開かれた祈りの集会で聞いたという、ISの関係者が信仰に導かれた2つの話をした。1つは、十字架の幻を見たIS戦闘員についてで、「ISの戦闘員にとって、これは良い知らせではなく、悪い知らせです」とジュリアンさんは語った。
そのため、この戦闘員はインターネットにアクセスして調べ、キリスト教のウェブサイトを見てさらに興味を持つようになったという。彼はその後、シリアを去ってトルコに行き、イエスについてより多くを語れる人と会い、キリスト教の信仰に導かれた。彼はレバノンで開かれた教会の集会で、自身の証しを話したという。
ジュリアンさんはまた、あるサウジアラビアのシャイフ(イスラム教の長老)を乗せて空港に行く途中、聖書を買いたいので止まってくれないかと頼まれたレバノンのタクシー運転手についての話を聞いた。運転手はシャイフを、レバノンの首都ベイルートにいるあるキリスト教徒の活動家のところに連れて行った。その活動家はシャイフに聖書を贈り、そしてなぜ聖書がほしいのかと尋ねた。
シャイフは以前シリアでISの戦闘員に「ジハード101、聖戦の神学と実践」について教えていたと言い、「殺りくにはうんざりです。それより良いことがあるはずです」と述べたという。
ジュリアンさんはまた、あるソマリ人のイスラム教徒の女性について語った。彼女は、コーランが朗読される中でISの戦闘員が米国人を斬首する動画を見て、とても怖くなったという。このことで彼女は神に祈らされ、「これはあなたですか? あなたが望んでいることですか?」と尋ねた。その夜、彼女はイエスの夢を見、そこで彼女は礼拝者の一人となっているのを見たという。その後、彼女と夫は二人とも信仰に導かれ、現在はキリスト教の宣教団体で働いている。
「ISは、イスラム教の闇を明らかにするために用いられています」とジュリアンさんは。一方で、「非常に多くのイスラム教徒がISを恥ずかしく思い、距離を取りたいと願っています。彼らは素晴らしい人たちですし、私たちは、イスラム教徒の隣人をISのようなテロリストと同視するべきではなく、隣人として見るべきです。にもかかわらず、この闇の要素がかつてないほど明らかにされています」と話した。
ジュリアンさんは、この話によってキリスト教徒はISに敵対するのではなく、戦闘員のために祈るようになるべきだと語った。「この人たちはだまされ、失われていた人々です。・・・私たちはISからさらに使徒のような人物たちが起こされるよう、祈る必要があります」