神奈川県在住のクリスチャン写真家、木原新太郎さんの写真展「小さい愛みつけた」が、4日からバイブルハウス南青山(東京都港区)の店内で開催されている。逆光と稜線(りょうせん)を生かして撮影されたシルエットの写真が20点以上展示され、それぞれに聖書の言葉が添えられている。写真は1枚ずつ木原さんの手によって現像されたもの。会期は8月7日(金)まで。写真は、額装品やみことば入りポストカードとして販売される。
これは版画? それとも切り絵? 見る人から、そのようによく尋ねられるという木原さんの写真は、影絵のような不思議な魅力を持つ作品だ。シルエット写真の持つ魅力について、木原さんは「写真家が見せる写真ではなく、見る人に主導権が委ねられている写真」だと話す。被写体の人物の表情や服装が一切分からないからこそ、見る人の想像力がかき立てられる。「聖書には、人はうわべを見ると書かれているが、普通のポートレートでは『いい表情だな』『美人だな』と見た目で判断してしまいやすい。そうではなくて、『この人はどういう人なのだろう』とシルエットから考えを膨らませてほしい」と木原さんは話す。
日本写真専門学校卒の木原さんは、海外における日本人宣教師の働きに興味を持ち、特に、そこに生きる現地の子どもたちの姿を撮影してきた。十数年前から、今回展示されているような、子どもたちのシルエット写真を撮り始め、現在はもっぱらこのテーマに取り組んでいる。シルエット写真を撮り始めたきっかけは、「肖像権の問題が難しい時代になったので、シルエットにすることによって子どもたちを守ってあげたいと思ったから」だそう。
これらの写真は全て、木原さんの自宅からほど近い、吾妻山公園(神奈川県二宮町)の展望台付近で撮影された。標高約136メートルの頂上には、相模湾、箱根山、丹沢山地、富士山を一望できる360度の大パノラマが広がっており、視界を遮るものは何もない。「写真家として世界中をさまよい歩いてきたが、この地はまさに自分にとっての青い鳥」と、木原さんがほれ込んだ場所だ。
日差しが伸びる時間帯になると、木原さんはカメラを肩にかけて山に登り、“物語”が生まれるタイミングをじっと待つのだという。山に登るのは週に4回ほど。「怪しい人と思われないように、公園の管理人のおじさんたちと仲良くするようにしている」と笑いながら話す木原さん。「そう考えると、本当に多くの人に支えられて撮影できた写真ですね」
会場のバイブルハウス南青山は、日本聖書協会の直営店。日本語聖書をはじめ、外国語聖書を豊富に取り扱い、プロテスタントからカトリックまで、幅広いキリスト教関連書籍・グッズを販売している。店長の鈴木淳之介さんは、「このお店は、南青山という交通の便利な立地に店舗を構えております。ぜひとも都内のクリスチャンの方々やキリスト教に関心のある方々に来店していただき、木原さんの写真を楽しんでいただきたい」と話している。