米国聖公会は6月27日、ユタ州ソルトレークシティーで開いていた総会で、初の黒人首座主教を選出し、その歴史に新たなページを刻んだ。総会ではこのほか、銃犯罪やイスラエル・パレスチナ問題、同性婚などの問題についても議論した。
米国聖公会初の女性首座主教であるキャサリン・ジェファーツ・ショーリ現首座主教の後任として選出されたマイケル・カリー主教(62)は、「このような形で教会と私たちの主に仕えることができるのは、本当に大きな祝福と特権です」と語った。
「私はこの教会を、この家を、主教会を、私たち皆を宝物だと思っています。私たちは神の子です」とカリー主教は語った。エピスコパル・ニュース・サービスによると、米国聖公会の主教会は、4人いた候補者の中から1回目の投票でカリー主教を選出。総投票数174票のうち121票を獲得して選ばれたカリー主教は、1回目の投票で選出された初の首座主教としても新しい歴史を刻んだ。
米国聖公会における最高職位である首座主教は、常議員会の会長および国内・海外宣教会の代表を兼任する。
「私たちは圧倒され、興奮しています。そして同僚の一人は、自分たちの生涯の中で黒人の大統領と黒人首座主教の誕生を見ることができるとは思っていなかったと言っていました」と、黒人聖公会員連合(UBE)のアネット・ブキャナン代表は語った。
「次期首座主教のマイケル・カリー主教は、UBEの長年のメンバーでした。彼は、教会が全ての人、特にアフリカ系米国人や米国に渡ってきたアフリカ人に開かれているものだと考えています。そして私たちは、彼とのこれまでの経験に基づき、カリー主教が教会の全てにわたってその働きを拡大するだろうと確信しています。カリー主教のために祈っています」
米国初の黒人大統領であるバラク・オバマ大統領が選出された時と同様に、ブキャナン氏は「非常に期待しています」と語った。
カリー主教は2000年6月に按手(あんしゅ)を受けてから、ノースカロライナ教区の第11代教区主教を務めてきた。
カリー主教は、米国聖公会を「私がイエスについて学んだ教会」と述べ、「ここは、素晴らしい良い教会で、そして私たちは素晴らしい良い人々です。私はみなさんの間で洗礼を受けた者であることを神に感謝します。私の心は本当にいっぱいです」と語った。
カリー主教はまた、「世界におけるイエス運動のため、つまりこの世界が私たちの悪夢ではなく神の夢に近づいていき、変革された世界となる手助けとなるために」奉仕し、働くつもりだと語った。
「これが私を奮い立たせ、また私が信じることです。そして、このことによってキャサリン(・ショーリ首座)主教の任期中に行われた良い働きを続け、建て上げていくことが本当の意味でできるのです」
「みなさんがご存じの通り、私は伝道について本当に重きを置き、さらに訓練、奉仕、証し、社会運動など、私たちの持つ福音の原理を重視します。これらが今は不可欠で、必要とされています。私は、米国聖公会が大衆に対して提示できるものが何かしらあると考えています。私たちは、イエスに神の愛を見いだすための福音の読み方を知っています」
そして、あなたは伝道者なのかという問いに対し、カリー主教は「私は、イエスに従う者だと言うほうが正しいでしょう」と答えた。
米国聖公会は3年ごとに総会を開く。今年は、銃犯罪やイスラエル・パレスチナ問題、同性婚などの問題についても議論した。
米連邦最高裁判所が同性婚を合憲とする判決を出した6月26日には、この判決を歓迎した。米国聖公会は、聖公会の世界的な共同体である「アングリカン・コミュニオン」の一員で、2012年からは同性愛のカップルにも祝福する式を行っている。また、一人の男性と一人の女性の間という教会法上の結婚の定義への修正も含め、ゲイやレズビアンの教会参加を広げるための解決策を検討している。
一方、米国聖公会内の一部の保守的な教会は、2012年の同性愛に関する決断をきっかけに離脱したものもある。
カリー主教は、11月1日に米国聖公会の第27代首座主教として正式に就任する。