クリスチャンの家庭に生まれ育ち、聖書の言葉を胸に刻んで音楽の道を突き進む若きドラマーがいる。May J.ら人気アーティストのバックバンドでの演奏をはじめ、多方面で活躍している瀧元寛太(30)さんだ。15歳で本格的なライブ活動に参加し、現在は東京を拠点にプロのドラマーとして活動する瀧元さんに、クリスチャンミュージシャンとしての思いを聞いた。
瀧元さんが音楽を始めたのは12歳の頃。彼の教会では、定期的に中高生対象の礼拝が行われており、毎回120人ほどの少年が集まっていた。彼らの多くは、やんちゃな中高生たち。瀧元さんもその一人で、有り余った力を音楽にぶつけようと、バンドを始めた。12歳でギターを、14歳でドラムを始めた。「良いか悪いかは分かりませんが、『礼拝の日に部活なんて言語道断』としつけられたので、部活に入る代わりにドラムに熱中しました」と当時を振り返る。
高校時代、サックス奏者のロン・ブラウンのライブを見て音楽を本格的に志すようになった。その後、May J.をはじめ、m.c.A・T、憧れていたロン・ブラウンとも共演。さまざまなアーティストのバックミュージシャンの一人としてスティックを握り、ドラマーとしてのキャリアを積んでいる。
世の中の音楽シーンの先端で活躍する瀧元さんは、「ミュージシャンとして新しいものを取り入れるのを止めることは成長を止めることと同じ。常に学び続け、成長し続ける必要がある」と仕事の姿勢を話す。
音楽のトレンドの変遷のスピードは教会のそれとは比較にならない。そんな世界にあって瀧元さんは、「基本を知っている人ほど、基本を崩し、革新を起こせる。彼らの音が革新的に聞こえても、話してみると学んで蓄えた故の今なのだと感じます」と言い、もちろん自身もそれを実践している。ミュージシャンとして生計を立てていく上で、「人気が出た人を目の当たりにしたり、有名なミュージシャンと共演したりすると焦りを感じることもある」そうだが、祈ると「『注目するべきところはそこじゃない』と神が語ってくるんです」と言う。
仕事中こそ、普段の信仰の姿が表れる、というのも瀧元さんの姿勢。「リスナーの意見に左右され、トレンドは常に移り変わる。それでも芯にあるものはぶれてはいけない。僕の場合、演奏は全て神様にささげるものであり、どんなジャンルであっても、ただ神様により良いものをささげようということしか考えていません」と言う。
教会の中では、「賛美で一番大切なのは神に向かう心、技術ではない」という声も聞くが、「確かにそこがずれてしまったら意味がないけど、技術の面でも最高のものをささげるのが音楽奉仕者としての役目」と、教会音楽のクオリティーに対しても高い意識を持つ。「神様の自由な働きを妨げないようにするためには、心技体がそろっていなければいけない」というのも彼の持論。「技術のあるミュージシャンだからこそできることがある。クリスチャンミュージシャンとして、次世代の心に届く賛美に関心のある教会の手助けとなる活動をしたい」と夢を語った。