世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事は28日、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領に書簡を送り、同国で死刑執行が迫っている10人の死刑囚たちの刑罰の軽減による助命を訴えた。WCCが公式サイトで発表した。
WCC国際問題教会委員会(CCIA)の委員であるバリ・キリスト教プロテスタント教会のケトゥト・ワスパダ監督や、エキュメニカル運動に関わる多くの人たちも同様の訴えをしており、この書簡はそれらに続くもの。
トヴェイト総幹事は書簡で、ウィドド大統領に対し、死刑を廃止し、この最も極端な刑罰に対してなされつつある世界的な合意に加わるために、全ての死刑執行について緊急の猶予を設けるよう要求。「死刑執行を再開するという貴国の決定は、死刑廃止に向けた世界の流れに逆行するものです」と述べた。
現在世界では、約140カ国が法律上ないし事実上、死刑を廃止している。インドネシアでは2008年に死刑が廃止されたが、昨年に復活。今年1月には、5人の外国人と1人のインドネシア人が麻薬取引で死刑にされた。
「私は、死刑執行が差し迫った死刑囚であるアンドリュー・チャンさん、ミュラン・スクマランさん、ラヒーム・アグバジェ・サラミさん、メアリー・ジェーン・フィエスタ・ベロソさん、ザイナル・アビディンさん、マーティン・アンダーソン(別名ベロ)さん、ロドリゴ・グラルテさん、シルベスター・オビエクウェ・ムウォリセ(別名ムスタファ)さん、オクウディリ・オヤタンゼさん、そしてセルゲ・アレスキ・アトラオウイさんの減刑を貴殿に求めた世界中の他の多くの人たちに加わります」と記し、トヴェイト総幹事は「彼らが訴追された犯罪にもかかわらず、これらの姉妹兄弟はみな神の子たちであり、神の姿に似せてつくられたのです」と述べた。
これに先立ち、ワスパダ監督は「死刑をもって、私たちは神の権威を疑問に付し、人々が人生を変えるチャンスを奪い去ってしまうのです」と訴えていた。ワサパダ監督はこれらの死刑囚のうちの数人に対して個人的に奉仕活動をし、彼らの悔い改めと改心、そして回心を証ししている。
「自らの心の奥底で問うてみましょう。私たちは、人間として、本当に他の人たちの命を奪い去る権減を持っているのでしょうか? 私は、ご自身の被造物の命を続けるか終わらせるための権威を持っておられるのは、神だけだと思います」と、ワスパダ監督は述べていた。