アルメニア使徒教会は24日、同教会のカトリコスで全アルメニア最高総主教のガレギン2世による、アルメニア人大虐殺100周年記念のメッセージを公式サイトに発表した。
メッセージは、同国のセルジ・サルグシャン大統領と関係各国の代表者ら、またキリスト教会の指導者、国際機関やエキュメニカル組織の代表者らに宛てて出され、ガレギン2世は「オスマン・トルコによって20世紀の初めに組織的に実行されたアルメニア人の大虐殺は、私たちの最近の歴史の中で最も大きな悲劇であり、それは適切な評価や非難を受けていないことによって、新たな犯罪の先例となったのです」と述べた。
一方、「私たちは、アルメニア人大虐殺が今や国際社会の関心の中心となり、認定や非難を受けていることを、神に感謝します」と述べ、「私たちがここにいることは、暴力や残虐行為から解放された、未来の世代に平和で安全な世界をもたらす自らの責任をはっきり示すものです」と付け加えた。
24日は大虐殺100周年の記念日で、前日23日にはアルメニア使徒教会が、150万人ともいわれる大虐殺の犠牲者を聖人とする列聖式を行った。同教会における列聖式は約400年ぶりで、ガレギン2世はメッセージの中で列聖式についても触れ、「今日、私たちの殉教者たちの輝かしい魂が存在し、神聖さが天蓋(てんがい)のように私たちを保護してくれる、アララト山が見えるこの丘の上から、私たちはとりなしの祈りを天に向けてささげ、世界の平和、そして人々の愛と調和を訴えます」と述べた。
「私たちの聖なる殉教者たちは今日、私たちにメッセージと使徒となる招きを伝えています。大虐殺やテロリズム、人々や国々の権利の蹂躙(じゅうりん)といった、人類に対する残虐行為を非難する、正義の使徒です」と、ガレギン2世はその今日的な意味について述べた。
さらに、トルコ政府がアルメニア人大虐殺を否定してきたことに言及し、「博愛、義、そして平和の保護者たち――それは私たちの聖なる殉教者たちです――は、虚構を説いたり、うそを広めたりすることに対して挑戦する、真実の使徒となるように、否認主義を拒否し、不寛容や無関心に打ち勝つよう、私たちを招いているのです」と述べた。
また、「100年間にわたる大虐殺のつらい記憶によって、私たちの民族の魂が悪や復讐(ふくしゅう)で暗くされてはいません。嫌悪は私たちの悲しみに染み通ってはいません。その代わり、私たちは自らの歴史についての欺瞞(ぎまん)や歪曲に直面した時も決然としたままであります」と述べ、アルメニア人の強い意志を強調。「私たちの民族は、今日も違法な封鎖と戦争の脅威という状況の下で生き、困難に耐え、人々や国々が持つ崇高な権利への信義をもって自らの権利を守り続けています」と述べた。
その上で、ガレギン2世は、大虐殺を認定し非難した国々や各国政府、宗教団体や公共機関、および大虐殺の残酷な時代に助けの手を差し伸べ、アルメニア人に避難所を提供した全ての国々や民族および個人に、感謝の意を表した。
そして、「最高総主教としての私の祈りは、私たちの民族が信仰と愛国心、そして自らの権利を決然と強く再び確立しようとする意志を固く保つことです。私たちの聖なる殉教者たちのとりなしを通じて、私たちは喜ばしく安全で繁栄した生活のために、平和と正義、愛と慈しみが地上に永遠に行き渡るよう訴えます。アーメン」と結んだ。
なお、このメッセージが掲載される前日の23日に、聖エチミアジン大聖堂の聖トリダット野外祭壇で行われた列聖式の模様は、日本時間の23日夜10時過ぎから翌日未明までインターネットでも中継された。