首都圏の諸教会が協力して毎年開催している「首都圏イースターのつどい」が12日、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会(東京都新宿区)で開催された。53回目の開催となる今年は、日本キャンパス・クルセード・フォー・クライスト(CCC)所属の伝道者で、現在十字架を背負って全米横断中のアーサー・ホーランド牧師がメッセージ。約700人が参加した。
今年は、この集会では定番となっている救世軍ジャパン・スタッフ・バンドによる演奏と協力教会の連合聖歌隊による賛美に加え、歌手の国分友里恵さんと岩本正樹さん(ピアノ)、斎藤昇さん(サックス)が出演した。約40人の連合聖歌隊は参加者と共に聖歌171番「よびとようたえ」を歌い、ヘンデルの「メサイア」から「ハレルヤ・コーラス」を熱唱。国分さんは、「アベ・マリア」や「復活」「光のエルサレム」など4曲を会堂いっぱいに響き渡る声で歌った。
アーサー・ホーランド牧師は、新宿・歌舞伎町での路傍伝道や、重さ40キロの十字架を担いでの日本列島縦断伝道、元ヤクザによるミニストリー「ミッション・バラバ」の立ち上げなど、その型破りな伝道スタイルで知られている。この日も白いスーツ姿で登場。ユーモア溢れる語り口調で聴衆の笑いを誘いながらも、「僕は根っからの伝道者ですから、ジーザスが大好きなんです。ジーザスにほれているんです」と言い、熱いメッセージを語った。
米兵と日本人女性の間に生まれたアーサー牧師。幼少期には、「あいのこ」と差別語を浴びせられることもあったが、アーサー牧師を育てた祖母は「愛されている子ども(愛の子)」だと言ってくれたという。「あの言葉が僕にとっては救いでした」。祖母はクリスチャンではなかったものの、アーサー牧師にとって、祖母からの愛はまさに「無償の愛」だったという。
「あなたは愛されている」と題して語ったアーサー牧師は、「ジーザスは、ずっとあなたに気づきを与えようとしている。自分の力で神に受け入れられようとする必要はないのです。あなたの熱心があなたを救うのではないのです。イエス・キリストの十字架の熱心があなたを救うのです」と強調。「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである」(ヨハネ3:16)と力強く語った。
メッセージ最後には、アーサー牧師の招きに応じ、イエス・キリストを受け入れると決めた人や、信仰を新たにすると決めた人など、多くの人々がステージ前に進み出た。そして、集まった決心者を前に、実行委員の姫井雅夫牧師が「今日、あなた(神)の愛を心にいただきました」「この恵みをしっかりと受け入れることができますように」と祈った。
メッセージの内容は集会後すぐにCD化され、会場で販売。アーサー牧師のサイン会もあり、売り切れになる盛況ぶりだった。キリスト教書店の出張販売もあり、会場外では救世軍スタッフが参加者に温かいコーヒーを配った。
東京都内の教会に通う20代の男性会社員は、フェイスブックで集会を知って今回初めて参加したという。「熱い雰囲気の集会でした」と感想を語った。
首都圏イースターのつどいは、放送伝道を行っている太平洋放送協会(PBA)が、ラジオ聴取者の決心の場として開催したのがその始まり。1963年に新宿・伊勢丹デパート屋上で初めて開催され、「連合イースターのつどい」「都民イースターのつどい」「東京イースターのつどい」と名称を変えつつ、現在の「首都圏イースターのつどい」として半世紀以上にわたって続いている。
斬新なアイディアで多くの客を集めていた伊勢丹デパート屋上での集会は、当時としては非常にユニークな伝道だったという。これまでの開催会場は、日比谷野外大音楽堂や九段会館、後楽園ホール、青山学院記念館、青山学院講堂などさまざまで、ここ数年は淀橋教会で開催されている。説教は、1997年までは日本を代表する大衆伝道者として著名な故本田弘慈牧師と羽鳥明牧師が交代で行った。その後はさまざまな牧師が説教しており、昨年はジャパン・カルバリー・クルセードの巡回伝道者である福澤満雄牧師が説教した。
一方、昨年春にカリフォルニア州サンタモニカからスタートし、全米横断の旅をしているアーサー牧師は、これまでにエイブラハム・リンカーンの出身地であるイリノイ州スプリングフィールドまでの約3200キロを歩ききったという。14日には渡米し、ゴールのニューヨークを目指して再び旅を続ける。