【ポートオブスペイン(トリニダード・トバゴ)=ENI・CJC】世界改革教会連盟(WARC)は18〜28日まで、カリブ海南部の国トリニダード・トバゴで常議員会を開催した。04年にガーナの首都アクラで開催された総会以来2回目の常議員会となる。その席上で、クリフトン・カークパトリック議長は、経済の地球規模化(グローバリゼーション)の効果を大西洋間の奴隷売買にたとえ、キリスト者がこの現代版「奴隷」制度と戦う必要があると語った。「信仰の尊厳の問題として、あらゆる形の奴隷制度に『ノー』と言わなければならない」と言う。
「英議会が大西洋間の奴隷貿易禁止令を通過させて200回目の記念日に今年は当たるが、その奴隷制度がまだ存在していることを痛いほど意識している」と、カークパトリック議長は語った。
同氏は、自らが所属するアメリカ合衆国長老教会(PCUSA)が、米国の移住農業従事者の権利推進の運動を行い、あらゆる形の人身売買と戦う必要性を強調して来たことを説明した。「しかし、私たちがアクラで確認したように、さらに有害な形の人間の奴隷化が、富者と貧者の間で劇的に深刻化している裂け目をさらに広げる新自由主義的(ネオリベラル)な地球規模化の過程で進められている」と語った。
同氏は、04年の連盟総会で採択された「アクラ告白」として知られる声明について言及。改革派の神学では、「告白」は信仰の声明と捉えられ、 「アクラ告白」では「私たちは、自らが沈黙のままでいたり、新自由主義的経済の地球規模化という現在のシステムに対しての行動を拒否するなら、私たちの信仰の尊厳が危機にひんしていることだと信じる」と主張されている。
04年総会の際、代表はガーナのエルミナ港にある監禁室を訪問した。そこから数百万人もの奴隷が大西洋間奴隷貿易により輸出されたのだった。「私たちは皆、改革派キリスト者は二度と人間の奴隷化と破壊を看過するべきでないという堅い信念を持ってエルミナを出発した」とカークパトリック氏は言う。
同氏の発言は、セトリ・ニョミ総幹事による常議員会への報告にも反映した。ガーナ出身の神学者でもある同総幹事は「大西洋間奴隷貿易が廃止されて200年、あらゆる形の隷従と奴隷状態が覆されるまであらゆる手段を尽くすと強く決議することに一致すべきだ」と指摘した。
ENI通信とのインタビューでニョミ氏は、「アクラ告白」が、諸教会とキリスト者が、彼らのライフスタイルと行動が貧困打破に貢献したか、妨げたかを問う必要があることを意味していると説明した。一方同氏は、連盟加盟教会の中には、「その大部分は地球の北側の教会」だが、地球規模の経済に対する姿勢を「告白」として扱うことに疑念を提示しているところがあることも認めている。これらの教会は、信仰の声明は教義的な問題に限定されるべきだと述べている。
同氏は、「答えは非常に簡単。改革派は神の主権を認める。神がこの世の主であり、霊的な分野でも主であることを私たちは分けない。従がって、社会問題に対する私たちの姿勢は主権に関する教義的な主張と一致している」と語った。(スティーブン・ブラウン)
世界改革教会連盟は本部をジュネーブに置き、現在107ヶ国の214教会が加盟する。信徒総数は7500万人とされており、日本では日本キリスト教会、在日大韓基督教会が加盟している。