世界教会協議会(WCC)やルーテル世界連盟(LWF)の関連団体からなるキリスト教国際援助組織「教会共同行動(ACT)アライアンス」は、18日付の記者発表資料で、19日未明に仙台で閉幕した第3回国連防災世界会議において採択された世界的な防災行動指針「仙台防災枠組」について、脆弱な人々が置き去りにされたと批判した。
仙台で14日から19日未明まで開催された同会議は、2030年までの世界的な防災行動指針となる「仙台防災枠組」と、その実行を求める「仙台宣言」を採択して閉幕した。仙台防災枠組は、これまでの「兵庫行動枠組」(05〜15年)の後継となるもので、災害による死亡率や被災者数を30年までに世界レベルで削減することや、災害による直接的な経済損失の削減など、減災目標が新たに盛り込まれた。今後15年間にわたって、国・地域および国際的なレベルにおける、防災に関するあらゆる活動の手引きとなる。
しかし、ACTアライアンスはこの仙台防災枠組について、「十分に野心的な力強い文書を生み出そうという政治的な意志の欠如」を象徴したものだと指摘。「各国政府間の交渉で十分な合意が得られなかったため、日本政府は問題を自らの手中に収め、交渉文にある全ての対立項目のために妥協案を発表した」と述べた。
ACTアライアンスの「災害リスク削減実行コミュニティー」のメンバーであるジェロエン・ジュリエンス氏は、「脆弱な社会が受けるに値するものよりも、最終的な成果が非常に弱いと私たちは恐れている」と述べた。
「全世界の災害についての兆候が明らかである一方で、台風ハイアンの記憶も新しく、この防災会議が行われている間にサイクロン『パム』が世界を揺るがしたのに、各国政府は責任をどう分担するのかをめぐる合意に達するため、なおも苦闘している」と、ACTアライアンスのジョン・ンドゥナ総幹事は語った。また、ジュリエンス氏は、「政策と実践に対するこの手法は、世界中で増大しつつある災害の課題に応えるものとはならない」と語った。
これに先立ち、いくつかの宗教団体は、災害の文脈における信仰共同体と、信仰が持つ固有の貢献を、仙台防災枠組が認めなかったことに落胆を表した。しかしながら、それらの団体は、この多国間プロセスの成果が弱いものになったにもかかわらず、地域社会の回復力を強めるための働きに対して、自らが責務を負い続けることを誓った。
多様な利害関係者たちが地域社会を中心に置き、災害の危険性の強靭な削減と気候変動に対する適応について、各国政府に責任を負わせたときに初めて、仙台防災枠組が意味をなすと、ACTアライアンスは述べた。
「ACTアライアンスは、地域社会と共に活動する役割を担い、災害の危険性の削減に関する行動を緊密に監視する用意ができている。なぜならこれは、人道・開発および提言活動というわれわれの任務だからだ。われわれは、とりわけ地域レベルで回復力を築き続ける」と、ンドゥナ総幹事は語った。
ACTアライアンスによると、交渉における最も困難な諸問題のいくつかは、災害の危険性の主要な原因に関するものであり、それには気候変動や紛争と共に、非常に政治化された金融・技術移転、そして国連気候変動枠組条約にある先進国と発展途上国の「共通だが差異ある責任という原則」が含まれているという。
ジュリエンス氏は、「ACTアライアンスは、十分な行動をとる野心の欠如によって損なわれている、気候変動に関する交渉のスピードを、この仙台会議が加速させることを望んでいた。もしこの仙台での交渉が、『気候と持続可能な開発目標』に関するプロセスの先例となれば、脆弱な人たちが置き去りにされてしまうのではないかと恐れている」と語った。