秋空の深みが増す頃、書店には来年度のカレンダーが並び、小さな子猫や、山や海など自然の風景、アニメのキャラクターや歴史に名を残す俳優など、色とりどりの写真を載せた暦が軒先を飾る。
昔ながらの日めくりカレンダーは、隠れた人気商品である。月齢や24節季 、格言や過去の出来事、誕生花など情報は満載だ。毎日めくる楽しみがある。
そこに神の御言葉があれば、一日がより特別なものとして感じられないだろうか。
みことば企画(株)が出版する「日めくり聖句カレンダー」(1500円税込み)は、一日ごとに聖書聖句(新共同訳)が載せられている。そこには製作者の特別な思いと祈りが込められている。
代表の嘉?隆二(かざきたかじ)氏は制作のきっかけを次のように語る。「長くカレンダー会社につとめていました。その中でクリスチャンとして、なにか自分に出来ることはないかと考えました」
「会社に勤めていると、いつも忙しいですよね。毎日忙しい、その中で毎朝必ずめくる日めくりで聖書の勉強ができたらと思ったんです」と、制作に至った経緯を語った。
制作から7年目、クリスチャンとして神への感謝の表れであると言うこの聖句日めくりの製造は、勤めていたカレンダー会社にとって、あまり好ましくないものとして受け取られ、制作を止めるように通告された。
嘉?氏はどうしても日めくり聖句カレンダーの制作を続けたいと願い、退職。しかし、これまで制作に関わってきたカレンダーメーカーから、活動を快く思わない声があがり、一時は制作が危ぶまれるという困難な状況に追い込まれた。
そんな中で嘉?氏を支えたのが、神への思いとその働きを応援する様々な人々からの励ましと協力だった。長年カレンダーを愛用するクリスチャンから救いの手が差し伸べられ、新たな業者との繋がりが生まれた。
困難な中でも活動を続けて来れたのは、ひとえに神からの多大な祝福とその働きかけを信じる信仰であったと嘉?氏。
08年度版の日めくり聖句カレンダーは、敬老の日に教会での祝福式に合わせて使いたいという声に応え、8月末からの販売となった。現在7000冊を出荷、全国のキリスト教書店、また丸善でも店頭に並べられている。
日めくり聖句カレンダーを手にした人々からは、「日々の聖句に励まされもし、また、お叱りを受けたりすることもある」といううれしい感想が届いている。「聖書の言葉には、一人ひとりに働きかける神の力があるということを改めて感じる」と嘉?氏は語る。
ある人は、入院中、手術のため別の病院に転院する日に『イエスは、それを聞いて言われた。「この病気は死で終わるものではない。神の栄光のためである。神の子がそれによって栄光を受けるのである。」』(ヨハネ福音11:4)という御言葉を、その日の日めくり聖句カレンダーで示されて「私の病気は死に至らない」と勇気が出たという。
また、「奥様がクリスチャン、ご主人がノンクリスチャンというある家庭では、奥様が教会の話をしても一緒に行こうとしない。しかしこの日めくりを掛けているとチラチラと見る。そのうち、読み出して、読んでいるうちに行ってみるかな、と導かれたそうです」と嘉?氏。「新しい人も次々起こされていますね。たまらない喜びを感じます」と証しする。
一つの聖句に一人一人がそれぞれに異なった状況で神からの特別な働きかけを感じているようだ。
日めくりに書かれる御言葉は、同社の発行人を務める日本イエス・キリスト教団岡南教会の金井信生主管牧師が、まず教会暦に従い大まかに選ぶ。その後、1〜2ヶ月を掛けて祈りながら構想を練り、校正し選んでいく。作業は毎年4月頃から始めているという。
「日々新たになる御言葉という、天からの恵みを与えられて喜んでいます。たくさんの御業があります。色々な試練もありますが、喜びを持ってやっていますよ」と語る嘉?。
日本の家庭で古くから馴染みある日めくりが、自然に神の御言葉に触れる機会をもたらす聖句カレンダー。おじいちゃんおばあちゃんへのクリスマスのプレゼントに、孫の手から福音のカレンダーが届けられることもあるかもしれない。贈る側も贈られる側も、抵抗感なく受け入れられる日めくりに、お茶の間伝道の道が開けることも期待される。
「みことば企画」では現在、日本聖書協会と日本ろう福音協会と協力して、日本聖書協会ホームページの申込フォームhttp://www.bible.or.jp/collection/calendar2008.htmlから08年度版「日めくり聖句カレンダー」を購入すると、1冊につき300円が「手話訳聖書」の制作費として募金されるキャンペーンを行っている。