イスラム教過激派組織「イスラム国」が1日、拘束中の後藤健二さんを殺害したとみられる新たな映像を公開したことを受け、米国や英国、フランスの各国首脳が非難する声明を発表した。日本との連帯を強調し、屈せずテロとの闘いを継続していくことを強調した。
米国のバラク・オバマ大統領は映像公開後、すぐに緊急の声明を発表。NHKは「異例の早さ」と伝えている。
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オバマ米大統領の声明(原文英語)
米国は、テロ組織「イスラム国」による、日本の国民でありジャーナリストの後藤健二氏のこの非道な殺害を非難する。後藤氏は、その報道により、勇敢にシリア国民の苦境を世界に伝えようとしてきた。われわれの思いは、後藤氏の家族、また後藤氏の愛する人々とあり、われわれは、安倍首相と日本国民と共にきょう連帯して立ち、この野蛮な行為を非難する。
われわれは、中東における紛争で苦しむ罪なき人々への寛大な支援を含む、日本の中東また世界における、平和と繁栄へ向けた促進のための揺るがない約束を賞賛する。同盟国や連携国の連合と共に立ち、米国は、イスラム国を落としめ、根源的に壊滅する断固とした行動を取り続ける。
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一方、英国のデイビッド・キャメロン首相も同日、声明を発表。「これは、イスラム国が悪の具現化であり、人の命を全く顧みないことを、あらためて思い起こさせるものだ」と厳しく批判した。
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キャメロン英首相の声明(原文英語)
後藤健二氏の卑劣でおざましい殺害を断固として非難する。これは、イスラム国が悪の具現化であり、人の命を全く顧みないことを、あらためて思い起こさせるものだ。
罪なき2人の一般市民が、このような残酷な形で殺害され、私の思いと祈りは、後藤氏と湯川氏の家族、そして日本国民と共にある。英国はこの悲劇の時に日本と連合して立ち、時間がかかろうとも、われわれはこれらの殺人者を捜し出し、裁きへと連れ出す。
中東の平和と安定、繁栄を守るため、国際社会と協力し、日本の精力的な役割を継続するとする、安倍首相の揺るがない約束を歓迎する。この地域で日本が提供している人道支援は、われらの罪なき人々を殺害したテロリスト、イスラム国によって同じく苦しんでいる現地のコミュニティーを助ける極めて重要なものだ。
日本政府がテロに屈しないことは正しいことだ。われわれがイスラム国を打ち倒す道は、これらテロリストに屈服することによってではなく、彼らに対し、また彼らの有害なイデオロギーに立ち向かうことだ。決意と忍耐をもって、われわれは日本、また他の同盟国と共に働き、このテロリストの脅威を絶やし、寛容と平和の価値のために立ち上がる。
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また、NHKによると、フランスのフランソワ・オランド大統領もこの日、声明を発表。「フランスはこの新たな事態に直面する日本政府を支援する。そして、中東に平和をもたらしテロ組織を壊滅させるために今後も協力を続けるだろう」と語った。
一方、菅官房長官は同日午前の記者会見で、殺害された男性について、総合的に判断して後藤さんである可能性が高いと語った。