24日深夜、イスラム国によるとみられる新たな映像が公開され、拘束されていた湯川遥菜(はるな)さんが殺害された可能性が伝えられた中、日曜日の25日、都内の教会では通常どおり礼拝が行われ、まだ存命しているとみられる後藤健二さんの無事と解放を求める祈りがささげられた。
都内のある教会では25日午前に行われた礼拝で、牧師がイスラム国による邦人拘束事件について触れ、安否に関する正確な情報が得られない中、まだ存命しているのであれば早期に解放されるようにと祈った。「皆さんにもお祈りしていただきたい」と礼拝参加者にも祈りを要請し、また「この2人をどうぞ(お救いください)という以上に、こうしたことが起こらない平和な世界が早く訪れるように」と、世界の平和を求めた。
20日にイスラム国による殺害を予告する映像が公開されてからは、各地の教会やクリスチャンの間で、後藤さんと湯川さんの無事を求める祈りの輪が広がっている。
安倍晋三首相は25日午前、NHKの「日曜討論」に出演し、24日深夜に公開された新しい映像について「今の時点で画像の分析をしているが、信ぴょう性は高いと言わざるをえない」と述べ、湯川さんが殺された可能性が高い考えを示した。
公開された新しい映像では、後藤さんの解放と引き換えに、イスラム国は、ヨルダンで収監されているイラク人の女、サジダ・アル・リシャウィ死刑囚の釈放を求めている。NHKによると、リシャウィ死刑囚は、2005年にヨルダンの首都アンマンで起こった自爆テロの実行犯の一人。このテロでは50人以上が死亡し、イスラム国の前身となった「イラクのアルカイダ」の犯行とされている。
ヨルダンでは昨年12月、米国主導の軍事作戦に参加していたヨルダン軍の戦闘機が、イスラム国が支配するシリア北部で墜落し、パイロットがイスラム国に拘束されている。ヨルダン国内では、このパイロットの解放の手段として、リシャウィ死刑囚の引き渡しが議論に上がっており、日本人の後藤さんの解放のためにリシャウィ死刑囚を釈放することは、ヨルダン国内の世論の反発も予想されるという。
日本政府はヨルダンに現地対策本部を置いており、安倍首相もアブドラ国王に協力を要請している。