いよいよ日本での公開が再来週に迫る、映画『神は死んだのか』。神の存在という歴史的な命題に切り込み、現代の米国社会で実際に起きている数々の訴訟事件がベースになっていることが話題を呼んでいる。今年の独立系宗教映画で最も高い興行収入を上げており、キリスト教信仰に基づいた映画の劇場公開がめじろ押しの中でも、大注目の作品だ。
聖書のエピソードを劇的に映像化した映画は、ある種の物語と捉えて済ますことができるかもしれない。しかし、この映画はそうではない。「神は死んだのか」という問いが、自分自身に直接的に突きつけられる。それは、現代という舞台で、実話をベースにしているという現実味があるからではないだろうか。
その現実味をさらに真に迫るものとしているのが、実名で登場する米国のクリスチャン著名人たちだ。本作品の原作『God's Not Dead: Evidence for God in an Age of Uncertainty』(2015年3月、いのちのことば社から日本語版が発売予定)の著者であるライス・ブルークス、米人気番組『Duck Dynasty』に出演中の実業家ウィリー・ロバートソン、そして大人気ロックバンドのニュースボーイズ(Newsboys)。
本作品を「驚くべき映画だ」と評する宗教学者・作家の島田裕巳氏は、特にニュースボーイズに注目してほしいと寄稿文の中で述べている。
「このニュースボーイズのことは、日本ではほとんど知られていないと思うが、米国では人気のある『クリスチャン・ロック』のバンドだ。保守的なイメージのあるキリスト教と、社会に対する反抗的な姿勢をモットーとするロックの結び付きは、日本人には予想外かもしれないが、米国では、このジャンルの音楽がかなり浸透し、流行している。この映画を見ると、改めてそのことがよく分かる。その点では、米国社会におけるキリスト教について知ることができる格好の映画でもあるのではないだろうか」
ニュースボーイズは、オーストラリア出身のロック色、ポップ色の強いクリスチャン・バンドだ。メンバーは、マイケル・タイト(ボーカル)と、20年にわたって彼と共に演奏してきた仲間であるジョディ・デイビス(ギター)、ジェフ・フランケンシュタイン(キーボード・ベース)、ダンカン・フィリップ(ドラムス)の4人。1985年の結成以来、アルバムを16枚発表し、そのうち5枚がゴールドディスクに認定されている。ラジオのナンバーワン・ヒットは30曲に及び、これまでに800万枚近くを売り上げてきた。グラミー賞には4度ノミネートされた経験を持つ。
本作品の終幕を彩るニュースボーイズ。メンバーは、この映画に大興奮しており、「神は生きていて、『ライオンみたいに吠えている』ことを観客に伝えることがぜひとも必要だと感じている」という。
「ライオンみたいに吠えている」とは、映画『God's Not Dead』の劇中で歌われる歌詞のことだ。「My God's not dead He's surely alive He's living on the inside Roaring like a lion(神は死んでなんかいない、本当に生きている、心の内に生きておられ、ライオンのごとく吠えている)」と大胆に歌う。この曲は、映画と同名であるニュースボーイズ15枚目のアルバム『God's Not Dead』のタイトル曲だ。30万枚を超える売り上げを記録し、CHRラジオ番組で7週間連続1位を獲得した。
「みんな真実を知りたくてたまらないんだと思うんだ」と、ジェフは言う。ダンカンはこう言っている。「彼ら(観客)が問い掛けてくれるといいね。僕らが質問しても、神様は怒らないと思うよ。まるで、誰もが答えを探してるみたいだ。人生において、気づくべき時期に来ているかどうかにかかわらず、誰もがいずれ、人生にはもっと意味があるはずだと気づくんだ」。さらに、リードシンガーのマイケルは促す。「誰もが心の中、人生の中に神を持っている。試してごらん。神はきっときみを納得させてくれるから」。
感動的なライブ・コンサートで知られ、米国内のみならず世界各国のコンサートでヘッドライナーを務める彼らが、イエス・キリストについて何を語るのか。その言葉とイエスを信じ祈る姿から、神の存在を感じ取ってほしい。