先月、システィーナ礼拝堂の照明設備に、青色発光ダイオード(LED)が導入され、各メディアで報道されたバチカン美術館。この美術館内部を世界で初めて4K / 3Dで撮影した、体験型美術館映画『ヴァチカン美術館4K / 3D 天国への入口』が、来年2月に日本で公開される。イタリア公開初日には、2万7千人を動員、興行成績1位の快挙を遂げた話題の映画だ。
バチカン美術館は、歴代ローマ教皇の収集品を収蔵展示する世界最大級の美術館。システィーナ礼拝堂の天井画や壁画は非常に有名だが、ルネサンス三大巨匠のミケランジェロ、ダビンチ、ラファエロから、現代美術のゴッホ、ダリといった美術史の中でも特に重要な芸術家たちの作品が収められている。
システィーナ礼拝堂にLEDが設置され、従来の照明に比べ熱や紫外線による傷みが抑制されつつも、より明るくすることが可能になり、作品の詳細を鑑賞することができるようになった。とはいえ天井画など、あまりに巨大なスケールの作品を間近で詳細に鑑賞するのは不可能だ。
そんな中、本作品では、最先端RED ONEの4Kカメラでの撮影が行われ、より緻密に、よりリアルに天井のフレスコ画の細部にまで迫ることが可能となった。4Kとは、4096×2160画素のことで、ハイビジョンの4倍のきめ細かさを誇る最新の映像フォーマット。
3D・4K専門家、灰原光晴氏(株式会社IMAGICA所属、3Dスーパーバイザー)は、「ただ3Dなだけでなく、優れた技術に裏打ちされた3D映画。極めて高度な撮影技術が駆使されていることが想像でき、『ベルベデーレのトルソ像』のシーンでは、立体感を損なうことなく、彫刻と展示空間全体を表現することを絶妙なカメラワークによって成功させている」と評価する。
また、麻倉怜士氏(オーディオ・ビジュアル、デジタル・メディア評論家)は、「これまで4Kは2Dとして、3Dは2Kとして発展してきたが、それが合体させた先端映像が体験できるのが本作。4Kと3Dが『質感、立体感、奥行き感』の再現を目指し、観る人をこれまで体験したこともないスーパーリアルな映像世界に誘うことが映画の目指しているところであり、4K / 3Dであることの本質的な意味だ」とコメントしている。
ミケランジェロの絵画が4Kカメラにより捉えられ、そして古代ギリシャの彫像が3Dで飛び出すとき、映画館はまさしく美術館そのものとなる。ただし、普段近づくことのできない天井画や彫像の裏側までが、スケール感あふれるダイナミックな映像で堪能できるというのは、まったく新しい稀有な体験だ。神の手が紡ぎ出した、奇跡の美術館に息づく究極の美を通して、天国を垣間見ることができるかもしれない。
日本語版ナレーションは、テレビ朝日系列「世界の車窓から」のナレーションでも有名な、石丸謙二郎氏が担当。
映画『ヴァチカン美術館4K / 3D 天国への入口』は、来年2月からシネスイッチ銀座で3D公開される。